トリニダード島

トリニダード島の概要

トリニダード島は、カリブ海に位置するトリニダード・トバゴを構成する主要な島です。この島の面積は4,827平方キロメートルあり、ポートオブスペインが島の中心に位置しています。緯度10度3分から10度50分、経度60度55分から61度55分の間に広がるこの島は、その美しい自然環境で知られています。南側にはサーペンツ・マウス（蛇の口）、北側にはドラゴンズ・マウス（竜の口）という海峡が存在し、両者は南米（具体的にはベネズエラ北東岸）との接点でもあります。

島は四角い形をしており、北部、中部、南部の三つの山脈が存在します。最も高い山はアリポ山であり、その標高は940メートルです。また、トリニダード島には、多様なビーチ（マラカス、ラス・クエバス、マヤロ、グランデ・リビエール）、沼地（ナリバ、カロニ）、熱帯雨林、丘陵地帯が広がり、豊かな自然が満喫できます。特に、オセロットやマナティーといった珍しい哺乳類、さらには国鳥であるショウジョウトキやワキアカヒメシャクケイといった多様な野鳥も生息しています。

歴史

トリニダード島には、最初に南米由来のインディオが住んでいましたが、1498年にはクリストファー・コロンブスの探検隊が島に到達しました。その後、トリニダードはスペインの植民地となり、様々な国（フランス、オランダ、イギリス）が植民地化を進めました。特にフランスは多くの黒人奴隷を伴って大規模に入植しましたが、1797年にはイギリスによって制圧され、1802年に正式にイギリスの領土となりました。

奴隷制度の廃止後、従来の労働力が失われたため、ポルトガル、中国、インドなどから新たな労働者が導入されました。1889年にはトバゴ島と共に単一の王領植民地が形成され、1962年にトリニダード・トバゴとして独立を果たし、1976年には共和国となりました。

文化

現在、トリニダード島の住民はアフリカ系黒人とインド系がほぼ半数ずつを占めており、さまざまな民族の影響を受けた多様な文化が形成されています。毎年行われるカーニバルは特に大規模で、ヒンドゥー教の祭りディーワーリーも盛大に祝われています。音楽の面では、カリプソやソカが広く楽しまれ、リンボーダンスの発祥の地としても知られています。

経済

経済的には、かつてサトウキビ栽培が主流でしたが、現在は農業と漁業に加えて、豊富な天然資源を活用した採掘と加工が主な産業となっています。トリニダードはカリブ海で最も豊かな石油と天然ガスの資源を有しており、ガスの輸出は世界でも有数の規模を誇ります。また、液化天然ガスやアンモニア、メタノールの輸出でも世界でもトップクラスです。特にピッチ湖のアスファルト鉱脈は非常に有名です。

ポートオブスペインは、この島の北西海岸に位置し、主要な都市であり経済の中心でもあります。一方、南部にはサンフェルナンドという第二の都市がありますが、両都市を結ぶ道路のインフラは整っているものの、地方部では未整備の道も多く見られます。

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