トリニティ教会 (ニューヨーク市)

トリニティ教会の概要

トリニティ教会（Trinity Church）は、ニューヨーク市マンハッタン区のブロードウェイ79番地に位置する歴史ある教会で、ニューヨークの聖公会の一施設として全日礼拝を行っています。この教会は、ブロードウェイとウォール街の交差点にあり、三位一体の神を象徴する「トリニティ」の名で呼ばれています。

歴史的背景

トリニティ教会の設立は1696年に遡ります。当時のニューヨーク植民地のベンジャミン・フレッチャー総督は、イングランド国教会のために新しい教会の土地を購入することを承認しました。この教会は、1697年にイングランド王ウィリアム3世から認可を受け、教会の設立を果たしました。土地の年間賃借料は小麦60ブッシェル（約2200リットル）に設定されました。

トリニティ教会の現在の建物は1846年に完成し、リチャード・アップジョンによって設計されたゴシック復古調の建築物です。1976年にはアメリカ合衆国の国指定歴史建造物に指定されました。教会の尖塔は、ローワー・マンハッタンのスカイラインにおいても目立つ存在であり、ニューヨーク港に入ってくる船舶の目印ともなっています。

初代トリニティ教会

トリニティ教会の初代建物は1698年に建設されました。腰折れトタン屋根と小さなポーチを持つ質素な構造でした。その後、イングランド女王アンによって教区の土地が大幅に拡大され、1709年のウィリアム・ハドルストンによるトリニティ・スクールの設立など、地域社会に大きな貢献をしました。

教会は1776年のニューヨーク市大火により焼失しましたが、その後1788年に新しい建物の建設が始まり、1790年に献堂されました。この2代目教会も1846年に完成し、その尖塔はニューヨーク市で最も高い建物の一つとして知られました。

トリニティ教会墓地

教会の周辺には3つの墓地があります。最初の墓地はウォール街とブロードウェイの角に位置し、アレクサンダー・ハミルトンなどの著名人が埋葬されています。次のトリニティ・セメタリーは、リバーサイド・ドライブと155番通りの交差点にあり、オーデュボンやディケンズがここに眠っています。最後のセントポール礼拝堂の教会墓地も重要な歴史的資産です。

教会の装飾と礼拝

トリニティ教会は、3組の印象的な青銅製ドアがあり、それぞれのドアには教会の歴史やニューヨーク市の重要な出来事が描かれています。さらに、トリニティ教会は豊富な音楽プログラムを提供しており、毎週開催される「コンサート・アット・ワン」ではプロによる生演奏が行われています。

教会は全日制の礼拝を実施し、結婚式や洗礼など、特別な機会にも対応しています。博物館が併設されており、教会の歴史や文化、芸術についての展示が行われています。また、毎日午後2時にはガイドツアーもあり、訪れる人々にトリニティ教会の魅力を伝えています。

経済的背景

トリニティ教会はニューヨーク市の大きな土地所有者の一つであり、土地の権利については設立から200年近く争われてきた経緯があります。この教会は歴史的な資産だけではなく、地域社会に対する貢献も大切にしており、現在でも多くの人々が訪れる場となっています。

その他のトリビア

映画『ナショナルトレジャー』では、教会の地下にあるフリーメイソンの秘宝が描かれています。これは教会がただの宗教的な場所だけでなく、文化的なアイコンでもあることを示しています。

トリニティ教会は、その歴史的、文化的、宗教的な重要性から、訪れる価値のある場所といえるでしょう。

もう一度検索