トリモチカビ科

トリモチカビ科（Zoopagaceae）について

トリモチカビ科は、トリモチカビ亜門に属する独自のカビのグループです。かつては接合菌に分類されていましたが、現在ではその生態や生殖様式を考えると、この科は特異な位置を占めています。トリモチカビ科には、捕食性の糸状菌が含まれており、特定の小型動物を捕らえ、そこから栄養を取得することで知られています。和名としては「ゾーパゲ科」や「ゾウパーゲ科」とも呼ばれることがあります。

特徴

この科のカビは非常に細い菌糸を広げて成長します。捕食性の特性を持ち、特定の小動物に触れることで、その動物に向けて吸器を伸ばし、内部から栄養を吸収します。この一連の行動は非常に巧妙で、微細な菌糸が獲物にしっかりと接触することで実現されます。

生殖方法

トリモチカビ科の生殖は、無性生殖と有性生殖の両方があります。無性生殖は分生子を形成し、菌糸上に単独または連鎖的に生じます。有性生殖においては、菌糸が接合して接合胞子嚢を生成します。この嚢は、厚い壁を持ち、透明で表面に凹凸の模様が見られます。また、支持柄は透明で、菌糸状に成長し、接合部分で結合します。

生態

この科のカビは捕食性であり、宿主とする生物として線虫やワムシ、アメーバなどが確認されています。特に、属の一つであるゾーファグス（Zoophagus）は、淡水環境や汚水処理場の活性汚泥に頻繁に見られます。このカビは短い突起を形成し、これを使ってワムシを捕らえます。一方、他の属ではそのような特別な捕獲器官は見られません。生育環境には、宿主動物が生息する土壌や糞の中、腐敗物などが含まれることが多いです。場合によっては、蘚苔類と関連して見られることもあります。

学術的背景

トリモチカビ科は、1938年にドレクスラーによって提唱されました。初めは捕食性と内部寄生性の種が混在していましたが、1973年にDuddingtonが内部寄生性の種をゼンマイカビ科として分離しました。1990年には、従来は卵菌類と考えられていたゾーファグスがこの科に再分類されました。現在、この科には次のような属が含まれています：

• - Acaulopage
• - Cystopage
• - Stylopage
• - Zoopage（トリモチカビ属）
• - Zoophagus

トリモチカビ目は当初、接合胞子嚢を形成するカビとして接合菌門に分類されていましたが、最近の分子系統解析の結果、その配置は見直され、独立した亜門として位置付けられています。

結論

トリモチカビ科は、そのユニークな捕食行動と特殊な生態環境により、カビの中でも特異な存在です。今後もさらに研究が進むことで、その生態的な役割や進化の過程が明らかにされることが期待されます。

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