トルクメニスタン軍

トルクメニスタン軍：中央アジアの軍事力

トルクメニスタン軍は、中央アジアの国、トルクメニスタンの国軍です。その歴史は1992年に遡り、旧ソ連軍の部隊を基盤として創設されました。現在もソ連軍の影響が色濃く残っており、組織や階級制度、さらには軍隊内の号令や操典までロシア語が使用されています。

軍事力と組織

トルクメニスタン軍の総兵力は約5万4900名と、国の規模に比して大規模な軍事力を持っています。これは、ソ連崩壊後、旧ソ連軍の戦力がそのまま引き継がれたことによるものです。当初はロシアとの合同司令部の指揮下にありましたが、1994年の合同司令部解散後、1995年には大統領直属となりました。

軍事予算は約1億ドルで、GDPの3.4％を占めています。永世中立国を宣言しているトルクメニスタンは、ロシアだけでなく、中国、ウクライナ、アメリカ、トルコなど、多様な国々から武器を調達しています。この多角的な調達ルートは、外交戦略の一環とも考えられます。

トルクメニスタン軍は陸軍、空軍、海軍の三軍で構成されています。それぞれの軍種について、詳細は公開情報が限られているため、具体的な戦力や装備などは不明な点が多いです。

階級制度と徴兵制

トルクメニスタン軍の階級制度は、ソ連軍やロシア軍と類似した制度を踏襲していますが、2004年には独自の階級呼称も導入されました。中尉は「オンバシ」、大尉は「ユズバシ」、大佐は「ムンバシ」、将官は「ゴシュバシ」といった呼称が用いられています。

徴兵制度では、17歳から35歳までの男子が対象となり、兵役期間は2年間です。毎年15万人の動員が可能ですが、これは軍の規模を大きく上回ります。そのため、2002年にはサパルムラト・ニヤゾフ大統領が、兵役期間を1年間に短縮し、残りの1年間は無給労働に従事させる政策を導入しました。この政策は失業対策と軍事予算削減の両面を目的としていましたが、人権問題に関わる批判もありました。

兵員の90％はトルクメニスタン人ですが、将校の70％はロシア、ウクライナ、アルメニアなど、外国人であることが特徴的です。これは、ソ連時代の軍隊経験者や専門知識を持つ人材の活用が継続されていることを示唆しています。

準軍事組織

トルクメニスタン軍以外に、国境警備隊や内務省治安部隊など、様々な省庁が管轄する準軍事組織が存在します。これらの組織の総員は約1万8千名と推定されており、トルクメニスタン軍の軍事力と併せて、国の安全保障体制を支えています。これらの組織の装備や活動内容についても、公開されている情報は限られています。

結論

トルクメニスタン軍は、ソ連軍を起源とする歴史を持ち、独自の制度と多様な要素を併せ持つ複雑な組織です。永世中立を宣言する一方で、強大な軍事力と独自の徴兵制度、多角的な武器調達ルートを維持しています。今後の動向についても、国際情勢や国内情勢の変化によって大きく影響を受ける可能性があります。より詳細な情報を得るためには、更なる研究が必要となります。

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