トルコ航空345便墜落事故

トルコ航空345便墜落事故

1975年1月30日に発生したトルコ航空345便の墜落事故は、航空史において非常に悲劇的な事件の一つです。この事故は、アドナン・メンデレス空港からアタテュルク国際空港に向かっていたフォッカーF28-1000型機で起こりました。搭載されていた乗員および乗客42人全員が命を失い、フォッカーF28による事故としては2番目、トルコ国内の航空事故としては3番目に多くの犠牲者を出した事例となりました。

事故機の概要

墜落した航空機は、製造番号11058のフォッカーF28（機体識別番号：TC-JAP）で、1972年に初飛行しました。この機体は1972年内にトルコ航空に納入され、その後の離着陸を合わせて5,062回行い、合計3,713時間の飛行を記録していました。

事故の経緯

事故が発生したのは、345便が18時00分（UTC）頃にアドナン・メンデレス空港を離陸した後、約40分のフライトを経てアタテュルク国際空港にアプローチしている最中でした。18時39分、滑走路に接触した際、突然空港が停電に襲われ、パイロットは着陸を断念し、高度240mでの飛行を続けることを決断せざるを得なくなりました。停電から22秒後には非常用発電機が作動し空港の照明が復旧しましたが、この時点での状況はすでに厳しかったと言えます。

その後、18時43分にパイロットは管制官に着陸の許可を求めましたが、他の航空機の離陸があったために風下に向けて飛行するよう指示されました。残念ながら、この後の18時53分には管制官が345便に対して試みた交信も反応がなかったため、事態は悪化していきました。

機体の発見

事故から7年が経過した1982年になって、345便はアタテュルク国際空港から西に約30km離れたマルマラ海に墜落したことが確認されました。残骸の発見には長い年月がかかり、遺族は潜水調査を通じて遺体や残骸の引き上げを求め続けましたが、当初は対応されませんでした。2009年3月17日、エビ漁船の操業中に漁師が345便の一部を回収しました。それには、機体後部の一部と窓枠が含まれており、米国の航空歴史家スチュアート・クラインによって検査された後、トルコ航空に引き渡されました。

この事件は、航空業界における安全性の向上を求められるきっかけとなり、以降の航空運航管理体制や緊急時の対応の重要性を再認識させました。航空事故の犠牲者を追悼する意味でも、この事故についての記憶は重要です。

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