トレイシー・ローズ

トレイシー・ローズ (Traci Lords)

トレイシー・ローズ（本名ノラ・ルイーズ・クズマ）は、1968年5月7日にアメリカ合衆国オハイオ州の小さな町、ステューベンビルで生まれました。彼女は女優、元ポルノ女優、映画プロデューサー、監督、作家、そして歌手として多岐にわたるキャリアを持つ人物です。別名として、トレイシー・エリザベス・ローズやトレイシー・ローズ（Tracy Lords）でも知られています。

彼女のキャリアは波乱に満ちており、特に未成年時代のポルノ業界での活動が注目されることとなりました。幼少期から複雑な家庭環境で苦しんでいたトレイシーは、10歳での性的虐待や、性的なモデル業務へと強引に導かれる形でトラウマを抱えることになります。15歳の若さで『ペントハウス』のセンターフォールドに登場し、1980年代半ばにはアメリカのポルノ界に名を馳せました。

トレイシーは1984年、15歳のときに名作『アナザー・プッシュ』に出演し、ポルノ・ムービー・オブ・ザ・イヤーを受賞します。しかし、18歳の誕生日を迎える前に年齢詐称が発覚したことで、ポルノ業界からの追放を余儀なくされました。このスキャンダルは1986年に報道され、彼女はポルノ業界における闇の部分の象徴となりました。

日本でも彼女の名声は高まり、1985年には日本で撮影された『トレイシー・テイクス・トーキョー』で愛染恭子と共演し、多くのファンを惹きつけました。日本のメディアでも大きく取り上げられ、彼女の活動は国内外で広く報じられました。年齢詐称が発覚した後も、彼女が持つ魅力や存在感から「ポルノ・クイーン」として多くの人々に記憶されています。

トレイシーのキャリアの転機はその後、ポルノ業界から脱却し、真剣に演技を学ぶことに決めたことでした。彼女は本名のノラ・クズマでオーディションに応募しましたが、最初は受け入れてもらえず、逆に疑念を抱かれました。それを機に彼女はトレイシー・エリザベス・ローズという名前で再起を図り、一般映画やテレビドラマへの出演を目指しました。『美女とエイリアン』や『クライ・ベイビー』などの映画でも活躍し、特に『クライ・ベイビー』では若きジョニー・デップとの共演が話題となりました。

また音楽活動にも挑戦し、1992年にはマニック・ストリート・プリーチャーズの楽曲「リトル・ベイビー・ナッシング」に参加。さらに自伝『トレイシー・ローズ 15歳の少女が、いかにして一夜のうちにポルノスターになったのか?』を出版し、彼女の波乱に満ちた人生を詳細に語っています。近年では、施設の運営などにも関わりながら、社会に貢献する活動を行っています。

トレイシー・ローズは、その名声とスキャンダルを経て、様々な道を歩んできましたが、今では女優としてだけでなく、人間としても成長を遂げた印象があります。彼女の人生は、華やかさと同時に多くの試練を含むものであり、特に若年時の経験は彼女の今の活動にも影響を与えているでしょう。

もう一度検索