トレマーズ (映画)

『トレマーズ』：砂漠の町を襲う恐怖とユーモア

1990年、アメリカ合衆国で公開された『トレマーズ』は、ロン・アンダーウッド監督によるモンスターパニック映画です。ケヴィン・ベーコン、フレッド・ウォードらが出演し、ネバダ州の小さな町パーフェクションを舞台に、想像を絶する恐怖と、時にユーモラスな展開が織りなされます。この作品は『トレマーズ』シリーズの第一作目であり、後に続編やテレビシリーズが制作されるほどの人気シリーズの幕開けとなりました。

恐るべき地下生物グラボイドの襲来

物語は、貧しい生活から抜け出すため、隣町への移住を決意した便利屋、バルとアールの二人から始まります。しかし、彼らの移住計画は、奇妙な事件の連鎖によって狂わされていきます。彼らは町民の変死体や、食い殺された家畜を発見し、やがてその原因が巨大な地下生物「グラボイド」であることを突き止めます。

グラボイドは地中を高速で移動し、鋭い触手を使って獲物を襲います。彼らは地表に現れる際には、地響きのような地震を発生させるため、その存在を察知することは困難です。バルとアールは、地震学者であるロンダと共に、グラボイドに対抗するため、必死に生き延びようと奮闘します。

個性豊かな町の人々

パーフェクションの住民たちも、グラボイドの脅威に直面します。偏執的な準備好きでガンマニアのバート夫妻は、要塞化した自宅と大量の武器を駆使してグラボイドと戦い、町の人々の希望の光となります。一方、他の住民たちは、恐怖と混乱の中、それぞれの方法で生き延びようとします。

登場人物は、お調子者で勇敢なバル、慎重なアール、知的なロンダ、そして個性的な町の人々など、多様なキャラクターが描かれています。彼らの相互作用や、それぞれの葛藤が物語に深みを与えています。

予想外の展開と緊迫感

『トレマーズ』は、モンスター映画特有の恐怖描写だけでなく、ユーモアも巧みに織り交ぜています。バルとアールの軽妙な掛け合い、そして絶体絶命のピンチをユーモラスに切り抜けるシーンは、緊張感あふれる展開の合間に、観客に息抜きの時間を与えます。しかし、そのユーモアの裏側には、常にグラボイドの脅威が潜んでおり、緊張感と緩和のバランスが絶妙に保たれています。

クライマックスでは、バル、アール、ロンダの3人が、残されたグラボイドを倒すため、知恵と勇気を振り絞ります。彼らの知略と、グラボイドの意外な弱点を見抜く場面は、手に汗握る展開となっています。

カルト的人気を誇るモンスターパニック

『トレマーズ』は、公開当時、興行収入は製作費を大きく上回ることはできませんでしたが、ビデオ販売やテレビ放送などで高い人気を獲得し、長年にわたってカルト的な人気を誇る作品となりました。批評家からも高い評価を受け、「B級映画の傑作」として称賛する声も多くあります。独特のユーモアとサスペンス、そして魅力的なキャラクターたちが織りなす物語は、多くの観客を魅了し続けています。

製作秘話

映画ポスターのデザインは、当初グラボイドを強調する予定でしたが、製作会社スタンピード・エンターテインメントの意見により、映画を観るまでグラボイドの詳細が明かされない方が良いと判断され、変更されました。また、当初はR指定でしたが、公開延期を経てPG-13で公開されました。音楽も、当初の作曲家が制作した曲が「馬鹿馬鹿しい」と判断され、変更されています。これらの制作過程も、この映画の独特の魅力を形成する要素となっています。

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