トレンティーノの戦い

トレンティーノの戦い

トレンティーノの戦い（イタリア語: Battaglia di Tolentino）は、1815年5月2日から3日にかけて、ナポリ王国とオーストリア帝国の間で行われた重要な戦闘です。この戦いは、ナポレオン戦争の最後の局面、いわゆる百日天下の時期に起こりました。ナポレオンの忠実な支持者であったナポリ王ジョアッキーノ1世は、自身の王位がウィーン会議で剥奪されるのを防ぐためにオーストリアに対し宣戦を布告しました。しかし、戦況は次第にオーストリア側に有利に進展していきました。

背景

1815年4月末までに、ジョアッキーノ1世は過去の戦闘での優位性を失っていました。オーストリア軍の指揮するアダム・アルベルト・フォン・ナイペルクとフレデリック・ビアンキの二つの軍団がアペニン山脈の両側から進撃を開始していたのです。これに対抗するため、ミュラはまず西側のビアンキ軍を撃破した後、ナイペルク軍に挑む策を練りました。この作戦は、ナポレオンがワーテルローの戦いで成功を収めた戦略に類似していました。

戦闘を行う地をトレンティーノに定めたミュラは、ナイペルク軍の動きを妨害するために小部隊を派遣しました。しかし、オーストリア側は迅速にトレンティーノを占拠し、ミュラは逆にマチェラータの北東に布陣することになりました。オーストリア軍は、特にサン・カテルヴォ教会からランチア城、マエスタ教会へと防衛線を張り、持久戦を繰り広げました。

戦闘の経過

5月2日の朝、トレンティーノにおいて双方が衝突し、砲撃戦が開始されました。ナポリ軍は最初のうち、オーストリア軍の急襲に成功し、敵の指揮官であるビアンキの捕獲を狙いましたが、ハンガリー騎兵によって阻止されました。その後、激しい戦闘が続き、両軍は頻繁に形勢を入れ替えながら戦いました。戦闘が進むにつれ、ナポリ軍は若干優位に立ったものの、オーストリア軍は堅牢な防衛体制を維持していました。

翌日の3日は霧に包まれ、戦闘開始が遅れました。ナポリ軍はランチア城の奪取に成功しその後オーストリア軍へ攻撃を続けましたが、戦況は徐々にオーストリア側に傾いていきました。ナポリ軍は反撃に備え方陣を組みましたが、オーストリア軍による激しい砲撃に圧倒され、その後、撤退する羽目になりました。

戦後の影響

ミュラはナポリへ退却しましたが、オーストリアとイギリスの両軍が迫る中で状況は絶望的でした。最終的に彼はデンマークの船乗りに変装し、隠れてコルシカ島へ逃れました。その後、5月20日にはオーストリアとナポリ間でカサランツァ条約が結ばれ、フェルディナンド4世がナポリ王として復帰することとなりました。

この戦闘は、ナポレオン戦争の終息を告げる重要な出来事であり、ナポリ王国におけるボルボーネ朝の復活の契機ともなりました。

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