トロワグロ兄弟

トロワグロ兄弟と50年連続三ツ星レストランの物語

フランス料理界に燦然と輝く名門「トロワグロ」。その名を世界に知らしめたのは、ジャンとピエールのトロワグロ兄弟です。1926年生まれのジャンと、2年後の1928年に生まれたピエール。二人の兄弟は、フランスのソーヌ＝エ＝ロワール県シャロン＝シュル＝ソーヌで生まれ育ちました。

彼らの料理人生は、父ジャン・バチスト・トロワグロの影響を強く受けています。ジャン・バチストは優れた味覚と料理への深い造詣を持ち、ローアンヌでホテルレストランを開業しました。これが後の「トロワグロ」の礎となります。家庭では、母マリーが料理を担当し、父は経営、サービス、そしてワイン選びを担っていました。この家庭環境が、兄弟の料理人としての道を決定づけたと言えるでしょう。

兄弟は、修行時代にはフランス料理界の巨匠、フェルナン・ポワンに師事しました。ポワンの薫陶を受けた兄弟は、伝統を重んじながらも、常に革新を追求する姿勢を身につけました。特にジャンは、深みと切れ味を兼ね備えたソース作りに秀でており、「ソースの神様」と称賛されました。

「トロワグロ」の料理は、その日市場で仕入れた新鮮な食材を最大限に活かすことを基本としています。この「トロワグロ・スタイル」は、兄弟によって確立され、世界中の美食家たちを虜にしてきました。厳選された食材と、洗練された技術、そして兄弟の感性が融合した料理は、まさに芸術の域に達しています。

1996年からは、ピエールの息子であるミシェル・トロワグロがオーナーシェフとしてレストランを引き継ぎました。三代にわたるシェフたちの努力と情熱が、レストランの伝統を守り、さらに進化させています。

そして2018年、「メゾン・トロワグロ」は、フランス版『ミシュランガイド』において、実に50年連続で三ツ星を獲得するという快挙を達成しました。これは、フランス料理界においても類を見ない偉業であり、トロワグロ兄弟、そしてミシェルの長年の努力と卓越した技量の証と言えるでしょう。

「トロワグロ」の物語は、単なるレストランの歴史ではありません。それは、伝統と革新、そして家族の絆が織りなす、フランス料理史に刻まれた壮大な叙事詩なのです。市場で選び抜かれた新鮮な食材、洗練された技術、そして三世代に渡る情熱が凝縮された「トロワグロ」の料理は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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