トンネルボーリングマシン

トンネルボーリングマシン（TBM）とは？

トンネルボーリングマシン（TBM、Tunnel Boring Machine）は、トンネル掘削において欠かせない巨大な機械です。その用途は、地盤調査のための小規模なトンネル掘削から、大規模なトンネルの本坑掘削まで多岐に渡ります。TBMは、回転するカッターヘッドで地盤を削りながらトンネルを掘削し、安全かつ効率的に工事を進める役割を担います。

TBMとシールドマシンの違い

日本では、TBMとシールドマシンは明確に区別されることが多いです。一般的に、シールドマシンはトンネル掘削と同時にセグメントと呼ばれるコンクリート製の外壁を構築する機能を備えています。一方、TBMは掘削機能のみに特化しており、外壁の構築は別の工程で行われます。推進方法にも違いがあり、シールドマシンはセグメントとマシン後部との間に設置されたジャッキで推進するのに対し、TBMは坑壁に設置されたグリッパで推進します。

しかし、海外、特に欧米では、これらの区別があいまいな場合が多く、掘削機能を持つ機械全般をTBMと呼ぶことも珍しくありません。英仏海峡トンネルでは、掘削と外壁構築の両機能を備えた機械が使用され、このことは両者の境界があいまいであることを示しています。

TBMの種類と用途

TBMは、掘削する地盤の硬さやトンネルの規模に応じて様々な種類があります。硬岩を掘削するのに適したハードロックTBMや、軟弱地盤向けのシールドTBMなどがあります。また、大断面トンネルの掘削では、事前に小さなトンネルを掘削する「先進導坑」という方法が用いられることがあり、この先進導坑の掘削にもTBMが活用されます。本坑掘削には、大型のTBMが用いられることが多く、その効率性と安全性は、大規模プロジェクトの成功に大きく貢献します。

TBMの命名習慣

興味深いことに、フランスやスイスなど一部の地域では、トンネル掘削機に女性の名前をつける習慣があります。これは、坑夫の守護聖人である聖バルバラに由来すると言われています。聖バルバラは、危険な仕事に従事する人々の守護聖人として信仰されており、機械に女性の名前を与えることで、作業員の安全を祈願する意味合いが込められていると考えられます。

まとめ

TBMは、現代のトンネル建設において不可欠な存在であり、その技術革新は、より安全で効率的なトンネル建設を可能にしています。日本と海外におけるTBMとシールドマシンの区別の違いや、ユニークな命名習慣など、TBMを取り巻く文化的な側面も理解することで、この巨大機械の役割をより深く理解できるでしょう。今後の技術革新により、TBMはさらに進化し、より複雑な地盤条件や大規模なプロジェクトにも対応できるようになることが期待されます。

もう一度検索