トン型掃海艇

トン型掃海艇

トン型掃海艇は、イギリス海軍が運用していた掃海艇の一種で、主に機雷掃討を目的とした艦艇です。この艦級は、第二次世界大戦前と比較し、機雷の種類や技術の進化に合わせた設計が施されています。また、その使用はイギリスの海運戦略の重要な部分を担い、119隻が建造されました。

歴史的背景

第二次世界大戦以前、掃海艇は通常、触発式の係維機雷に対処するための艦隊の前路掃海を主な任務としていました。この頃の掃海艇は、比較的高速で、重装備の鋼鉄製のものが主流でした。しかし、大戦後期には磁気や音響に反応する感応機雷が出現し、さらに朝鮮戦争を通じて、その脅威が広く認識されるようになりました。その影響で、掃海艇の設計に変化が求められるようになり、1950年代からは非磁性材料が使用されるようになりました。

イギリス海軍は1947年に新型掃海艇の研究を始め、1949年には掃海型と機雷掃討型の二つの設計案が考案されましたが、財政的な問題から計画は遅れました。しかし、朝鮮戦争の勃発を受けて、1950年には本級の建造計画が具体化しました。その後、初期の機雷探知機が実用化されたものの、その能力には限界があり、機雷掃討型の計画は早々に見送られました。

設計と技術

トン型掃海艇は、アルミニウム合金と木材を使用したアル骨木皮構造を採用しています。その主機関には、初めはミラレル・ディーゼルエンジンが搭載されていましたが、後にネイピア・デルティックの高速ディーゼルエンジンに変更されました。これにより、艇の機動力や運用効率が高まることとなりました。

本級は、最初は掃海単能艇として設計されていたものの、その後様々な装備が追加されて機雷掃討能力が強化されました。特に、プレッシー社が開発した二周波数ソナーである193型ソナーの搭載により、機雷の分類能力が実現しました。1964年には、「キルクリストン」がこのソナーを搭載し、その後16隻が機雷掃討型に改修されました。

装備と運用

この艦級の主な特徴は、その機雷探索と掃討の方法にあります。機雷処分には水中処分員が依存しており、探知後にゴムボートで機雷に接近し、爆薬を用いて処理する手法が取られていました。これにより、直接機雷の上に人員が進出するリスクが存在しましたが、当時の技術水準ではこの方法が選ばれていました。

配備と国際的な展開

トン型掃海艇は119隻が建造され、イギリス海軍の機雷戦力の要を成しました。また、他の国々にも供給され、アルゼンチン、オーストラリア、インドなど、多くの国でも運用されました。特に、1972年にはこの設計を基に、初の繊維強化プラスチック製掃海艇「ウィルトン」が進水し、技術革新を遂げる一因となりました。

トン型掃海艇は、イギリス海軍にとって重要な艦艇であり、戦後の掃海戦術に新しい方向性をもたらす存在として、今も歴史の中で評価されています。

もう一度検索