トーションバー

トーションバー

トーションバーは、捻れる物体の反発力を活用したばねの一種で、主に「ねじり棒」や「ねじりばね」とも呼ばれています。英語では「torsion bar」や「torsion spring」と呼ばれ、特に軽量化が求められる場面で使われます。この装置は、その細長い形状と高いスペース効率から、多くの分野で利用されているのが特徴です。通常は中実の鋼棒で作られますが、中空の鋼管タイプも存在します。

構造と特性

トーションバーは、エネルギーの保存に優れた特性を持っており、コイルばねに比べて同じ質量でより多くのエネルギーを蓄えることができます。また、形状が直線的で細いことから、設置スペースを最小限に抑えることができるため、非常に効率的です。ねじりばね定数、すなわちねじりモーメントに対する変形角度の比を示すこの装置は、以下の式で表されます。

$$
k = \frac{M_{T}}{\alpha} = \frac{GJ}{L}
$$

ここで、各変数は以下の通りです:

• - $k$ : ねじりばね定数 (Nmm/rad)
• - $M_{T}$ : ねじりモーメント (Nmm)
• - $\alpha$ : ねじれ変形角 (rad)
• - $L$ : 長さ (mm)
• - $G$ : 材料の剛性率 (GPa)
• - $J$ : ねじり定数。

用途

トーションバーは、自動車や戦車のサスペンションに特に多く利用されており、用途の広さが魅力です。1930年代から自動車用サスペンションとして「トーションバー式サスペンション」が開発され、車両の揺動を効果的に吸収できる設計が導入されました。この技術は、重量あたりの支える能力が高いため、戦車やトラック、トレーラーなどの重機に適しています。

例えば、トーションバーはサスペンションのメインスプリングとして使用され、揺れをねじり方向に変換する特性があります。このため、大きな荷重を支えることが可能で、車両の動きがスムーズになります。さらに、車両設計において、トーションバーはリンク機構と結びつけることで、運転の安定性も向上します。

トーションバーは、アンチロールバーやライトバンのドロップゲートのヘルパースプリングなど、さまざまな部位で使用されます。1960年代以降、乗用車ではストラット式サスペンションが主流になりましたが、トーションバーの利用は引き続き意義があります。

戦車での利用

また、トーションバーは戦車用のサスペンションにも多用されており、特に1934年に登場したスウェーデン製のL-60軽戦車がその初例とされています。日本では、戦時中に研究が進められ、特にチリ車（五式中戦車）にトーションバーが採用される検討もなされました。戦後には、陸上自衛隊の戦車にもこの技術が実装されることで、現代の装甲車両において重要な役割を果たしました。

鉄道車両やその他の用途

トーションバーは自動車や戦車だけでなく、一部の鉄道車両にも利用されています。スイスのSIG社が開発した台車での事例があり、トーションバーが枕ばねとして機能しています。このように、トーションバーは多方面での応用が期待される技術です。

トーションバーはその設計の柔軟性と機能性により、今後もさまざまな分野での利活用が進むと考えられています。この技術がもたらす利便性と効率性は、未来の交通手段や軍事技術においても影響を与え続けるでしょう。

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