ドイッチュ番号

ドイッチュ番号とは、フランツ・シューベルトの作品を整理・特定するために用いられる番号のことです。1951年にオットー・エーリッヒ・ドイッチュによって作成された作品目録『Franz Schubert – Thematic Catalogue of all his works in chronological order』（シューベルト年代順作品表題目録）において、各作品に付与されました。ドイッチュ番号は「D」と略記され、「D 123」のように表記されます。オーストリアなどでは「DV 123」と表記されることもあります。

ドイッチュ自身は、作品目録の序文で「D」は自身の名前の略記ではなく、シューベルトの作品を表す記号として、省略記号の「.」なしで使用してほしいと述べています。ただし、Dと数字の間には半角スペースを入れるのが一般的です。

ドイッチュの死後、1978年にはヴァルター・デュルやアルノルト・ファイルらによって、ドイツ語の改訂版『Franz Schubert – Thematisches Verzeichnis seiner Werke in chronologischer Folge』が作成されました。これにより、ドイッチュ番号はさらに精緻なものとなりました。

シューベルトの作品には作品番号も存在しますが、これはシューベルトの生前に出版された順に付けられたものであり、作曲年代とは必ずしも一致しません。また、作品番号が付与されていない作品も多く存在します。そのため、近年では作曲年代順に整理されたドイッチュ番号が、作品を特定する上でより広く用いられています。

ドイッチュ番号は、シューベルトの作品を研究する上で欠かせないツールとなっています。各作品の作曲年代が明確になっているため、音楽史的な考察や演奏解釈に役立つだけでなく、シューベルトの生涯における作曲活動の変遷を辿る上でも重要な手がかりとなります。

関連情報として、シューベルトの楽曲一覧も参照すると、ドイッチュ番号と作品の関係性をより深く理解することができます。

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