ドイツ社会主義労働者党

ドイツ社会主義労働者党（SAPD）について

ドイツ社会主義労働者党（Sozialistische Arbeiterpartei Deutschlands、SAPD）は、かつてドイツで存在した政党で、1875年から1890年及び1931年から1945年の二時期に分かれています。初期のSAPDはドイツ社会民主党（SPD）への改称を経て、のちの政党活動の基礎を築くこととなります。また、後期のSAPDは、社会民主党からの分派として設立され、ナチズムに対抗する活動を行いました。

1875年から1890年のSAPD

初期のSAPDは、1875年にゴータで設立されました。この党は、フェルディナント・ラッサールの全ドイツ労働者協会（ADAV）と、アウグスト・ベーベル及びヴィルヘルム・リープクネヒトのドイツ社会民主主義労働者党（SDAP）が合併して誕生しました。この時、社会主義政党による最初の議席獲得が実現し、多くの労働者の支持を受けることとなりました。

合併にあたっては、「ゴータ綱領」が採択され、これが党の理念となりました。しかし、1880年代にはビスマルク政権による社会主義者鎮圧法が施行され、党は地下活動を余儀なくされます。それに伴い、党員たちは議会に出席する一方で、集会や出版活動が禁じられました。それでも、党は1877年には50万票、1890年には140万票を獲得し、国内最大の政党としての地位を確立しました。これがビスマルク政権の危機感を呼び起こし、社会主義への圧力がかかる要因となりました。

1890年にビスマルクが政界を去ると、社会主義者鎮圧法は廃止され、SAPDはドイツ社会民主党に改名されました。

1931年から1945年のSAPD

次に、1931年に設立された第二のドイツ社会主義労働者党（SAP）は、社会民主党から分派した左翼グループとして活動を開始しました。党の結成に際しては、当時の社会民主党内の対立が背景にありました。1932年には、共産党から分かれたメンバーも加わりましたが、規模は限られていました。

1933年以降、SAPのメンバーはナチス政権に抵抗するために非合法活動を展開しました。重要な活動の一つとして、SAPDの若者がInternationales Büro Revolutionärer Jugendorganisationenに参加し、オランダで会議を開催しました。この会議は当局によって中止され、数名のメンバーが逮捕される事態に発展しました。その後も党内の意見の相違から、SAPDは国際的な組織と連携しながらも埋没していきます。

第二次世界大戦の影響を受けた多くのSAPDメンバーはイギリスに移住し、そこで活動を続けました。最終的に彼らはドイツ社会民主党（SPD）に合流することとなり、これによりSAPDは戦後再結成されることはありませんでした。

結論

ドイツ社会主義労働者党（SAPD）は、その二つの時代において、ドイツにおける社会主義運動の重要な一端を担いました。この党は、労働者の権利向上や社会不正への反対のために戦うことを目的とし、特にナチスに対する抵抗の象徴的な存在となりました。

もう一度検索