ドコモ for PC

ドコモ for PCは、NTTドコモがかつて提供していたデータ通信サービスの名称です。このサービスは、PCやモバイルルーターなどを通じて高速なインターネット接続を可能にし、場所を選ばずにビジネスやプライベートで大容量のデータ通信を行うニーズに応えるものでした。特に印象的なのは、サービスプロモーションのために展開されたユニークなCMキャンペーンです。

『鉄人28号』とのコラボレーションCM

2009年 10月、ドコモ for PCの認知度向上とサービス特性の訴求を目的に、往年の人気漫画・アニメである『鉄人28号』との大胆なコラボレーションCMシリーズの放送が開始されました。このキャンペーンでは、『鉄人28号』の主人公である金田正太郎が現代社会で活躍するビジネスマンとして登場し、ドコモ for PCを利用して様々な困難を乗り越える姿が描かれました。

CMはテレビだけでなく、ウェブ上のネットCMとしても展開され、ウェブ版では各都市を舞台にしたエピソードが公開されました。また、全国のドコモショップ店頭でも、キャンペーンに登場するキャラクター紹介などの広告が行われ、多角的なプロモーションが展開されました。

CMに登場するキャラクターたち

このキャンペーンのために設定された現代版の登場人物たちは、『鉄人28号』のオリジナルキャラクターを踏襲しつつ、それぞれの現代における役割が与えられています。

金田正太郎: かつて少年探偵として活躍した彼も、時は流れ、現在は百戦錬磨のビジネスマンとして多忙な日々を送っています。夕輝壽太氏が彼を演じました。ドコモ for PCを駆使して仕事上の危機を乗り越える、物語の中心人物です。
立花真美: 正太郎のガールフレンドとして登場します。物語に彩りを添える存在です。川口りさ氏が演じました。
河越順一郎: 正太郎が勤める会社の社長です。趣味はフィギュア集めという個性的な設定です。この河越という名は、『鉄人28号』の作者である横山光輝氏の別の代表作『コメットさん』にも同名のキャラクターが登場します。
草間大作: 正太郎の部下として登場し、彼をサポートします。このキャラクター名もまた、横山光輝氏の別作品『ジャイアントロボ』に同名のキャラクターが存在します。
沢野公平: 正太郎たちの恩師にあたる人物です。現在は金沢でレストランを経営しています。この沢野という名も、『コメットさん』に同名のキャラクターが登場することが知られています。

これらのキャラクター設定には、往年の作品ファンへの目配せとともに、現代社会を舞台にしたドラマ性を付加する意図が見られます。

登場するメカニック

キャンペーンCMには、『鉄人28号』の世界には欠かせない巨大ロボットたちも登場します。

鉄人28号: 正太郎の相棒として、現代の困難に立ち向かうために活躍します。その詳細は『鉄人28号』自体の項目に詳しいでしょう。
ブラックオックス: 鉄人28号のライバル的存在として登場し、物語に緊張感を与えます。こちらも詳細については別途項目を参照してください。

これらのメカが登場することで、『鉄人28号』の世界観が再現され、CMに迫力が加わっています。

各地の課題に挑むエピソード

ネットCM版では、全国各地を舞台に全9話のエピソードが制作されました。各話には「危うし、正太郎！」という共通のタイトルフレーズが冠され、その土地ならでは、あるいは現代ビジネスマンならではの具体的な課題が設定されています。

以下に各話の舞台と課題をまとめます。

第1話東京編: 「危うし、正太郎! 大容量データを受信せよ!」 - 首都圏で大容量データ通信の必要性に迫られます。
第2話大阪編: 「危うし、正太郎! 初デートを成功させろ!」 - デートという私的な場面での通信の重要性が描かれます。
第3話福岡編: 「危うし、正太郎! 飲み会を盛り上げろ!」 - 飲み会の場で通信を利用するシチュエーションです。
第4話名古屋編: 「危うし、正太郎! 東海道新幹線でメールを受信せよ!」 - 移動中の通信環境の課題に挑みます。
第5話札幌編: 「危うし、正太郎! 彼女のナビに注意せよ!」 - ナビゲーションと連携した通信利用の場面です。
第6話広島編: 「危うし、正太郎! ネットオークションで落札せよ!」 - タイミングが重要なオンライン取引での通信利用です。
第7話仙台編: 「危うし、正太郎! 温泉街から写真を送信せよ!」 - リモート環境でのデータ送信の課題です。
第8話高松編: 「危うし、正太郎! ブログをすみやかに更新せよ!」 - 情報発信における通信速度の重要性が描かれます。
第9話金沢編: 「危うし、正太郎! お祝いメールを先生に届けろ!」 - 特定の相手への迅速な連絡という課題です。

これらのエピソードは、ドコモ for PCが様々な場所や状況で役立つことを、具体的なストーリーを通して視聴者に伝えることを意図しています。

CMソング

キャンペーンのイメージソングとしては、「鉄人28号の歌」が使用されました。この楽曲は、作曲家である菅野よう子氏による現代的なアレンジが施され、往年の名曲に新たな息吹を与えています。CMのレトロフューチャーな雰囲気と相まって、強い印象を残しました。

ドコモ for PCの『鉄人28号』コラボレーションCMは、サービスの特徴を分かりやすく伝えるとともに、世代を超えたキャラクターの魅力を活用した、記憶に残るプロモーション事例と言えるでしょう。

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