ドブロ・ギター

ドブロ：リゾネーター・ギターの王者

ドブロ(Dobro)は、ギブソン傘下にあるリゾネーター・ギターのブランドとして世界的に知られています。その名の由来は、1928年にブランド設立者であるドピエラ兄弟の名字と、彼らの母語であるスロバキア語で「良さ」を意味する言葉に由来しています。

ドブロの歴史：革新と継承

ドブロギターは、リゾネーター・ギターの発明者でもあるジョン・ドピエラによって開発されました。初期のトライコーン型とは異なり、シングルコーンで、表側に凹面がくるボウル型を採用。トライコーン型よりも音量が大きく、コストを抑えられる点が特徴です。しかし、当時ジョンが所属していたナショナル・ストリング・インストゥルメンツ社では、このデザインが受け入れられず、ジョンは会社を退社。その後、独自の設計でドブロギターの生産を開始しました。

ドブロとナショナル社は、その後もそれぞれリゾネーター・ギターを製造。1934年には両社が合併し、「ナショナル・ドブロ・コーポレーション」を設立しました。しかし、第二次世界大戦の勃発により生産は一時中断。戦後、ドブロギターは幾多の変遷を経て、1993年にギブソンによって買収され、現在に至っています。

ドブロギターの特徴：唯一無二の音色

ドブロギターの最大の特徴は、ボディに張られた共鳴板による圧倒的な音量と独特な共鳴です。この構造により、他のギターでは得られない、力強く、そして深みのあるサウンドを生み出します。そのため、カントリーやブルーグラスといった音楽ジャンルで、リードギターや伴奏ギターとして広く使用されています。また、ハワイアンミュージックなどでも使用されることがあります。

ドブロを代表するモデル

ギブソンは現在、ボウル型コーンのオリジナルタイプに「ドブロ」ブランドを使用し、ビスケット型シングルコーン・レゾネーターギターには「ハウンドドッグ」ブランドを使用しています。代表的なモデルとしては、ハウンドドッグシリーズのラウンドネック、スクエアネック、デラックスモデル、そしてフィル・レッドベター・シグネチャーモデルなどがあります。これらのモデルは、それぞれ異なる特徴を持ち、プレイヤーのニーズに合わせたサウンドを提供します。

ドブロと著名なミュージシャン

ドブロギターは、多くの著名なミュージシャンに愛用されてきました。カントリーミュージックにおいては、ロイ・エイカフがドブロギターを最初に使用した人物として知られており、その独特のサウンドは、後のカントリーミュージックの発展に大きな影響を与えました。現代においても、アリソン・クラウスのバンドメンバーであるジェリー・ダグラスなど、多くのトップミュージシャンがドブロギターを使用し続けています。

ドブロの音色：時代を超えた魅力

ドブロギターは、その独特のサウンドと歴史から、多くのミュージシャンを魅了し続けています。力強く、そして深みのあるその音色は、時代を超えて愛され、これからも多くの音楽を生み出し続けることでしょう。その音色は、カントリーミュージックのみならず、様々なジャンルで新たな可能性を秘めています。ドブロギターの奏でる音色は、これからも多くの音楽ファンを魅了し続けるでしょう。

参考文献

* トニー・ベーコン『世界で一番美しいアメリカン・ギター大名鑑　ヴィジュアルでたどるヴィンテージ・ギターの歴史』（DU BOOKS、2013年）ISBN 978-4-92506-472-9

関連キーワード

カントリー、ブルーグラス、スティールギター、スライドギター、リゾネーターギター、ジェリー・ダグラス、アリソン・クラウス

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