ドミトリー・パヴロヴィチ

ドミトリー・パヴロヴィチの伝記

生誕と幼少期

ドミトリー・パヴロヴィチ（1891年9月18日生まれ）は、モスクワ郊外のイリインスコエ村でロシアの皇族に生まれました。彼はアレクサンドル2世の第6皇子であるパーヴェル大公とギリシャ王女アレクサンドラ・ゲオルギエヴナの長男です。1歳年上の姉、マリア・パヴロヴナがいます。

ドミトリーの母であるアレクサンドラは彼を妊娠していた際に事故に遭い、この影響で出産後に命を落としています。彼女の友人たちと過ごしていた際、ボートに衝突され、激しい痛みの中でドミトリーを世に送り出しました。この突然の出来事は、ドミトリーの誕生を祝うべき時ではなかったといえるでしょう。無事に生まれたものの、昏睡状態に陥った母親は数日後に死去しました。

家族との離別

1902年、ドミトリーの父パーヴェル大公は再婚によってニコライ2世の逆鱗に触れ、国外追放されます。そのため、ドミトリーとマリアは伯父のセルゲイ大公と伯母エリザヴェータのもとで育てられることになりました。しかし、セルゲイ大公は厳格であり、エリザヴェータも冷たく接したため、二人は新しい環境に馴染むのに苦労しました。

1905年、セルゲイ大公は暗殺され、エリザヴェータは子供たちに良く接するようになります。ドミトリーと彼女の関係は次第に良好となり、ニコライ2世とも親しい関係を築きました。

軍への入隊とスポーツ活動

ドミトリーはロシア帝国陸軍に入隊し、騎兵将校としてのキャリアをスタートさせました。彼はストックホルムオリンピックにも出場し、7位入賞の成果をあげています。さらに、スポーツ振興に努めることで、後のスパルタキアードというイベントの開催に寄与しました。

ラスプーチンの暗殺

1916年、ドミトリーはグリゴリー・ラスプーチンの暗殺に関与します。ラスプーチンの影響力がロマノフ家に対して危険と見なされ、煮詰まった状況で実行に移されました。フェリックス・ユスポフとともに計画を練り、ラスプーチンを誘い込み、暗殺に成功しました。

この事件によりドミトリーはペルシャ戦線へ送られることになり、混乱したロシアから逃れることが出来ました。

亡命生活とその後

ドミトリーは亡命生活を送る中、イギリスに移住しましたが、ユスポフとの関係が悪化してしまいました。彼は結婚し、子供も儲けましたが最終的に離婚。その後はフランスで生活し、さまざまな職を転々としました。

死去

1941年、ドミトリーはスイスで亡くなります。彼の死因にはさまざまな説がありますが、公式には不明とされています。遺体はダボスに埋葬され、その後、姉マリアの墓の近くに改葬されました。

人間関係

ドミトリーは多くの女性と関係を持っていましたが、その中でも有名なのはココ・シャネルとの短い関係です。また、アメリカ人女性と結婚し、彼女との間に子供が生まれるも離婚しています。生涯にわたって多様な人間関係を築いた彼の生きざまは、時代を反映したものでした。

ドミトリー・パヴロヴィチは、ロシア帝国最後の王朝の一員として、波瀾に満ちた人生を送りました。彼の人生は、歴史の中で重要な役割を果たし、今なお関心を持たれ続けています。

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