ドライアイス

ドライアイスについて

概要

ドライアイスとは、固体の二酸化炭素（CO₂）を指し、主に生鮮食品の冷却や輸送に利用される商品名です。これにより、冷凍食品やアイスクリームなどの保存が可能になっています。固体の二酸化炭素は、温度が氷よりも低く、昇華する際に液体とならず直接気体になります。

物理的性質

ドライアイスは常圧下で昇華温度が約-78.5℃であり、非常に強い冷却能力を持っています。具体的には、630 kJ/kgの冷却能力があり、同重量での氷の約2倍、同容積では約3.3倍の冷却性能を誇ります。ドライアイスを空気中に置くと、周辺の水分が凍り、白煙が発生します。これはドライアイスの特徴的な現象です。

形状の種類

ドライアイスはスノー（粉末状）、ペレット（小粒）、ブロック（大塊）に分類されます。粉末は表面積が大きいため冷却能力が高いですが、昇華しやすいという特徴があります。ブロック状のものは持続的に冷却するのに適しており、長時間使用可能ですが、使用する際にハンマーで割る必要があります。

製造方法と需給状況

ドライアイスの製造には、石油精製やアンモニア製造の副産物として得られた二酸化炭素を用い、精製後に圧縮、液化、凝固させる工程があります。現在、日本では需要の変化により生産量が減少しており、2013年には不足分を韓国から輸入した事例もあります。国内での年平均需要は約35万トンであり、特に夏季の需要が高まり、輸送においてドライアイスが多く使われています。

歴史

ドライアイスの発見は1835年にさかのぼり、法的な特許取得が1895年に行われました。1925年には、米国の企業が「ドライアイス」という名称で商業生産を始め、現在のように広く知られるようになりました。

用途

ドライアイスは様々な用途に利用されています。
1. 保冷剤: 食品の冷却において、濡れずに冷やすことができるため、冷凍食品やアイスクリームの保存に適しています。
2. 特殊効果: 舞台などでのスモーク効果として利用され、水に入れることで白煙を発生させます。
3. 遺体保存: 葬儀において、遺体保存に低コストで使用されています。
4. 科学技術: 人工降雨や自動車のクリーニング、疫苗の輸送など、多岐にわたります。

取り扱い法と注意点

ドライアイスは取り扱いに注意が必要です。二酸化炭素中毒や凍傷の危険があるため、使用する際は必ず通気を行い、適切な方法で保管しなくてはなりません。特に密閉した状態での保存は危険で、ペットボトルの破裂事故が多発しています。ドライアイスは食用ではなく、直接飲料に入れたりすることは避けるべきです。

適切な扱い方を理解し、安全に使用することで、ドライアイスの多様な利点を享受することができます。

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