ドライヴィング・レイン

ドライヴィング・レイン（Driving Rain）

『ドライヴィング・レイン』は、2001年にリリースされたポール・マッカートニーの20枚目となるオリジナルアルバムです。本作は、1997年の『フレイミング・パイ』以来、約4年ぶりに発表されたアルバムであり、マッカートニーの音楽キャリアの中で新たなスタートを切る重要な作品となっています。

レコーディングと参加メンバーの変遷

このアルバムは、アメリカの若手ミュージシャンを中心に構成された新しいバンドメンバーによって制作されました。その中には、ポールの息子であるジェイムズ・マッカートニーも含まれ、彼がギターやパーカッションで参加し、楽曲の共作も行っています。プロデューサーにはデヴィッド・カーンが起用され、彼はトニー・ベネットなどの著名アーティストのプロデュースを手掛けた経験があります。マッカートニーはそのアプローチに強く惹かれたと語っています。

レコーディングは2001年2月16日から始まり、ロサンゼルスのスタジオでおよそ2週間で16曲が録音されました。その後、6月にもロサンゼルスのスタジオに戻り、2曲を追加で録音し、ミキシング作業も行いました。このアルバムの最後に収録されている「フリーダム」は、特にその録音過程が注目されます。これは、2001年10月にマディソン・スクエア・ガーデンで行われた『Concert For New York City』の際に録音された音源をベースにしており、後にスタジオでその音をまとめる形で仕上げられました。

リリースと反響

『ドライヴィング・レイン』は、リリース当初から高い評価を受けたものの、初週の売上はアメリカで66,000枚、イギリスでは46位という結果でした。ポールはこのアルバムを引っ提げて、2002年4月から11月までの間『Driving World Tour』を開催しました。そして、2003年の春から夏にかけては『Back In The World Tour』を行い、このツアーではアルバムに参加したラスティ・アンダーソンやエイブラハム・ラボリエルJr.などがバックアップメンバーとして参加しています。

アートワークと収録曲

アルバムのジャケットやブックレットに使用されている写真は、ポール自身がカメラ内蔵のカシオ製腕時計で撮影したものであり、これも彼の個性的なアプローチを象徴しています。収録曲には「ロンリー・ロード」や「フロム・ア・ラヴァー・トゥ・ア・フレンド」といった楽曲があり、これらの楽曲はポール独自のスタイルが強く表れています。また、アルバムにはジェイムズ・マッカートニーが関与しているトラックもあり、親子共作の新たな展開を感じることができます。

このアルバムは、マッカートニーの音楽的冒険をさらに深め、彼のキャリアにおける重要な一歩を踏み出した作品として記憶されています。

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