ドラキュリアン

『ドラキュリアン』（原題：The Monster Squad）は、1987年にアメリカ合衆国で製作・公開されたホラー・コメディ映画です。太古の存在であるモンスターたちが現代に蘇り、世界の危機を招くさまに対し、ある町に暮らす子供たちが知恵と勇気をもって立ち向かう姿を描いた作品として知られています。製作総指揮はピーター・ハイアムズが務め、特撮技術はリチャード・エドランド、そしてクリーチャーデザインの第一人者であるスタン・ウィンストンがモンスター造型を担当するなど、当時の第一線で活躍するスタッフが集結しました。

物語

物語は遠い過去、1887年のトランシルヴァニアから始まります。伝説のヴァン・ヘルシング博士は、邪悪なるドラキュラ伯爵を異次元の彼方へ追放するため、魔法の石を用いた儀式を試みます。しかし、その試みは失敗に終わり、博士自身が時空の裂け目に吸い込まれてしまうという皮肉な結果に終わります。

そして時は流れ、100年後の現代、アメリカののどかな田舎町が舞台となります。この町に住む小学生のショーン、パトリック、ホレス、ユージーンは、自らを「怪物同好会」と称し、来る日も来る日も古今東西の怪物談義に熱中する、筋金入りのモンスターマニアたちでした。彼らの日常は、迫りくる巨大な危機の前触れも知らずに過ぎていきます。

その頃、遠く離れた場所では、一本の輸送機から謎の木箱と共に、一匹のコウモリが逃げ出すという異変が発生していました。このコウモリの正体こそ、百年前に追放を免れたドラキュラ伯爵その人でした。現代に蘇ったドラキュラは、手始めに輸送されていた木箱の中身、フランケンシュタインの怪物を覚醒させます。さらに、ミイラ男、狼男、半魚人（ギルマン）といった、かつての強力な仲間たちをも次々と復活させ、自らの配下として集結させていきます。

ドラキュラ率いるモンスター軍団が現代に蘇った目的は、善と悪の世界のバランスを司るという、強大な力を持つ光る石、すなわち「護府の石」を人間から奪取することでした。そして驚くべきことに、ドラキュラはその石がショーンたちが暮らす田舎町に隠されていることを突き止めていたのです。彼はモンスター軍団を引き連れ、目的の石を求めて町へと侵攻を開始します。

モンスターたちが復活したことを知った怪物同好会の少年たちは、自分たちが学んだ怪物に関する知識を総動員し、来るべき戦いに備え始めます。そんな中、ショーンは母親が偶然手に入れた古いドイツ語の本に、モンスターの秘密や対処法が記されている可能性を見出します。しかし、その内容はドイツ語で書かれており、子供たちには解読できません。彼らは、町で「怖いドイツ人」と噂され、人々に恐れられている近所に住む老人の家を訪ね、本の翻訳を依頼します。恐る恐るドアを叩いた少年たちでしたが、噂とは違いその老人は非常に温厚で理解のある人物であり、彼らの頼みを快く引き受けてくれます。

「怖いドイツ人のおじさん」の協力を得て本の内容が明らかになると、そこには驚くべき事実が記されていました。世界には善の力が凝縮された魔法の石が存在すること、そして100年に一度だけ善悪の均衡が大きく崩れ、その石が一時的に壊れやすくなること。さらに、その「100年に一度」の機会に魔法の石を手に入れ、純粋な心の持ち主である処女に特定の呪文を唱えさせる儀式を行えば、邪悪な存在を永遠に辺獄（現世と冥界の狭間）の穴へと封じ込めることができるというのです。そして、本の記述から、まさに明日夜がその「100年に一度」の機会にあたることが判明します。タイムリミットが迫る中、少年たちは魔法の石を見つけ出し、儀式に必要な処女を探すために奔走することになります。

そんな彼らの前に、思いがけない味方が現れます。それは、ショーンの妹であるフィービーが連れてきたフランケンシュタインの怪物でした。フランケンシュタインはモンスター軍団の一員でありながらも、純粋で傷つきやすい心を持っており、フィービーと心を通わせ、友達になっていたのです。フランケンシュタインはモンスター軍団と少年たちの間で葛藤しますが、最終的に少年たちの側に立つことを決意します。

怪物同好会の少年たちは、心強い味方となったフランケンシュタイン、そして博識なドイツ人のおじさんの協力を得て、ドラキュラ率いる恐るべきモンスター軍団を迎え撃つ準備を整えます。こうして、世界の命運をかけた子供たちとモンスターたちの壮絶な戦いの火蓋が切って落とされるのでした。

登場人物

本作には、主人公の少年たち「怪物同好会」のメンバーとして、リーダー格で勇気あるショーン、彼の親友パトリック、大柄なホレス、理論派のユージンなどが登場します。また、ショーンの妹フィービーは純粋さからフランケンシュタインと心を通わせる重要なキャラクターです。子供たちの協力者となる「怖いドイツ人のおじさん」は、物語の鍵を握る人物となります。敵対するモンスター軍団は、冷酷非情なドラキュラ伯爵を筆頭に、純粋な心を持つフランケンシュタイン、凶暴な狼男、不気味なミイラ男、異形の半魚人といった、ユニバーサル・モンスターを彷彿とさせる面々で構成されており、それぞれが強烈な個性を放ちながら、子供たちの前に立ちはだかります。彼らの戦いを通じて、勇気、友情、そして真の善悪とは何かというテーマが描かれます。

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