ドリーム・アカデミー

ドリーム・アカデミー (The Dream Academy)

概要

ドリーム・アカデミーは、1985年に音楽シーンに登場したイギリス出身のバンドです。当時のポピュラー音楽界では、スタジアムを揺るがすようなエネルギッシュなサウンドが主流を占めていましたが、彼らはこれとは対照的な、静謐で洗練されたアコースティックな響きを基調とした独自の音楽性を展開し、大きな注目を集めました。その繊細でメロディアスな楽曲は、リスナーに新鮮な感動をもたらしました。

音楽的な歩みと成功

バンドのデビュー作となったセルフタイトルのアルバム『ドリーム・アカデミー』（1985年）は、ピンク・フロイドのギタリストとして世界的に知られるデヴィッド・ギルモアがプロデューサーの一人として参加したことでも話題となりました。このアルバムで披露されたシンプルでありながらも奥行きのあるサウンドプロダクションは、批評家からも高く評価されました。

特に、シングルとして先行リリースされた「ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン」はバンドの代表曲となり、本国イギリスのシングルチャートで15位を記録したほか、海の向こうアメリカでもBillboard Hot 100チャートで最高7位にランクインするという大きな成功を収めました。この曲に含まれる印象的なメロディーやコーラスは、後にエレクトロミュージシャンであるダリオ・Gによって1997年にサンプリングされ、「サンシャイム」というタイトルで再び全英チャートでヒットするなど、その影響力は時代を超えて続いています。

「ザ・エッジ・オフ・フォーエヴァー」や「ザ・ラヴ・パレード」といった他のシングル曲も人気を博し、日本国内でも人気が高かったことから、特にハートランドビールのCMソングとして起用された「イン・ザ・ハート」は日本限定でシングルリリースされました。

短い活動期間とその後

高い評価を受け、今後の活躍が期待されていましたが、ドリーム・アカデミーとしての活動期間は比較的短命に終わりました。通算3枚のスタジオアルバム、すなわちデビュー作『ドリーム・アカデミー』、1987年の『リメンブランス・デイズ』、そして1990年の『ディファレント・カインド・オブ・ウェザー』を発表した後、バンドは1990年に解散を迎えました。

解散後は、各メンバーがそれぞれの音楽的キャリアを歩むことになります。ギタリストでありボーカリストのニック・レアード・クロウズは、解散後も音楽活動を続け、ピンク・フロイドが1994年にリリースしたアルバム『対 (The Division Bell)』に収録されている楽曲「Poles Apart」の共作者として名を連ねています。

日本との関わり

ドリーム・アカデミーは、バンドが最も活動的だった時期である1986年に、プロモーション活動の一環として初めて日本を訪れました。そして、解散から長い年月が経過した2016年には、オリジナルメンバーであるニック・レアード・クロウズと、サクソフォーン奏者兼ボーカリストのケイト・セント・ジョンが、「The Dream Academy (Nick And Kate)」という名義で再び来日し、日本のファンに向けてスペシャルなライブパフォーマンスを披露しました。

メンバー構成

バンドの核をなすメンバーは以下の3人です。

ニック・レアード・クロウズ (Nick Laird-Clowes): ギター、ボーカル
ケイト・セント・ジョン (Kate St John): サクソフォーン、ボーカル
ギルバート・ガブリエル (Gilbert Gabriel): キーボード、ベース、ボーカル

主なディスコグラフィ

ドリーム・アカデミーが残した主要な作品には以下のようなものがあります。

スタジオ・アルバム

『ドリーム・アカデミー』 - The Dream Academy (1985年)
『リメンブランス・デイズ』 - Remembrance Days (1987年)
『ディファレント・カインド・オブ・ウェザー』 - A Different Kind of Weather (1990年)

コンピレーション・アルバム

『サムホエア・イン・ザ・サン…ベスト・オブ・ザ・ドリーム・アカデミー』 - Somewhere in the Sun... Best of the Dream Academy (1999年)
『ザ・モーニング・ラステッド・オール・デイ ア・レトロスペクティヴ』 - The Morning Lasted All Day: A Retrospective (2014年)

主なシングル

「ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン」 - "Life in a Northern Town" (1985年)
「ザ・エッジ・オフ・フォーエヴァー」 - "The Edge of Forever" (1985年)
"This World" (1985年)
「ザ・ラヴ・パレード」 - "The Love Parade" (1986年)
「プリーズ・プリーズ」 - "Please, Please, Please Let Me Get What I Want" (1986年) - ザ・スミスのカバー
「インディアン・サマー」 - "Indian Summer" (1986年)
「レッスン・オブ・ラヴ」 - "The Lesson of Love" (1987年)
「イン・ザ・ハート」 - "In the Heart" (1987年) - 日本限定リリース
* 「ラブ」 - "Love" (1990年)

ドリーム・アカデミーは、短い活動期間ではありましたが、その独特で美しいサウンドで80年代の音楽シーンにおいて確かな足跡を残しました。彼らの音楽は、今なお多くのリスナーに静かに、しかし深く愛され続けています。

もう一度検索