ドルーピー君サーカスへ行く

ドルーピー君サーカスへ行く：不器用なスパイクと天才ドルーピーのサーカス入団試験

1951年、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）より公開されたテックス・アヴェリー監督作品『ドルーピー君サーカスへ行く』（原題：Daredevil Droopy）は、ドルーピーとスパイクの凸凹コンビがサーカス入団を目指して奮闘する、痛快なアニメーション作品です。

物語は、サーカス小屋の前を通りかかったドルーピーとスパイクが、「勇敢で運動神経抜群の犬を求む」という求人広告を発見するところから始まります。サーカス入団を決意した二匹は、団長から「どちらか一人を採用する」という条件付きで入団テストを受けることになります。

ここから、ドルーピーとスパイクの入団テストが幕を開けます。重量挙げ、射的、手品、火の輪くぐり、そして空中ブランコなど、様々な種目が用意されています。

スパイクは、テストに合格するために、ドルーピーを陥れる様々な罠を仕掛けます。重量挙げではバーベルの重さを偽装し、シーソー競技ではドルーピーを妨害しようとしますが、どれもドルーピーの機転と運動能力の前にあっけなく失敗。逆に、スパイク自身が自作自演の罠にかかり、ドルーピーの勝利に貢献する結果となります。

射的では、スパイクはライフル銃を故意に曲げてドルーピーを妨害しようとしますが、逆に自分の尻を撃ってしまうというオチに。手品では、箱をノコギリで半分に切るマジックで、スパイク自身が体を真っ二つにされる寸前まで追い詰められます。空飛ぶ人間の競技では、スパイクはプロペラの回転を間違えて地面に潜ってしまい、車での障害突破では高級スポーツカーが壁に衝突し、小型クラシックカーに変わってしまうというハプニングに見舞われます。

続くピストル射撃では、スパイクは弾丸をすり替えてドルーピーを陥れようと企みますが、ドルーピーは事前に実弾を用意しており、スパイクの策略は失敗に終わります。お手玉では、スパイクは爆弾を混ぜ込んだお手玉をドルーピーに渡しますが、ドルーピーは見事に爆弾を避け、逆にスパイクが爆弾の犠牲者となります。

火の輪くぐりでは、スパイクはバイクごと燃え尽きてしまい、人間大砲ではサーカス小屋の屋根を突き破り、最後は船を撃沈してしまうという大惨事を引き起こします。スケート競技では、スパイクが「8」と書いたのに対し、ドルーピーは「4+4」と書き、数学的な解答でスパイクを出し抜きます。

空中ブランコ、綱渡り、トランポリンと続く最終種目でも、スパイクは様々な妨害工作を仕掛けますが、全て失敗に終わります。一方、ドルーピーはこれらの種目を難なくこなして見せます。

結果、全ての競技で持ち前の機転と卓越した運動神経を見せつけたドルーピーが見事合格し、スパイクは不合格となります。ドルーピーの冷静さとスパイクのドジさが際立つ、笑いとスリルに満ちた、痛快なアニメーション作品です。

この作品は、ドルーピーとスパイクのキャラクター性を際立たせ、それぞれの個性と対照的な行動をコミカルに表現することで、観客を惹きつけます。スパイクの失敗がドルーピーの勝利をより一層輝かせ、テンポの良い展開とユーモラスな演出が、最後まで飽きさせない魅力となっています。また、1950年公開の『スポーツの王様』と比較すると、両作品でドルーピーとスパイクの立場が逆転している点も興味深い対比となっています。

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