ドレミソラ

『ドレミソラ』は、2002年7月29日から同年9月27日にかけて、毎日放送テレビ（MBSテレビ）が制作し、TBSテレビ系で放送された「ドラマ30」枠の昼ドラマです。全45話で構成され、平日の午後に放送されました。

当時の昼ドラマといえば、複雑な人間関係における愛憎劇が主流を占めていましたが、本作はそれとは一線を画し、学園を舞台にした青春群像劇として制作されました。夏休み期間中に放送されたこともあり、ターゲット層である主婦層のみならず、中高生からの支持も集めた異色の作品といえます。

キャストの面でも、昼帯の放送ながらゴールデンタイムのドラマにも引けを取らない豪華な顔ぶれが揃ったことが特筆されます。特に生徒役からは、後にテレビ番組で幅広く活躍する大沢あかね（野球解説者・大沢啓二の孫）、ファッション誌「セブンティーン」の専属モデルとしても人気を博した芳賀優里亜、ドラマ『ROOKIES』での演技が印象的な尾上寛之など、本作をきっかけに頭角を現し、後に様々な分野で活躍することになる若手俳優を数多く輩出しました。また、生徒役以外にも、後に国民的時代劇である『水戸黄門』で主要な役を演じる合田雅吏や、実力派の山本圭、津嘉山正種、高畑淳子といったベテラン俳優陣が出演し、物語に深みを与えました。2008年には、主演キャストの一人であった内博貴のテレビ出演復帰に合わせて、待望のソフト化（DVD化）が実現しました。

制作技術においても先進的でした。本作は制作当初からハイビジョン規格で収録されており、本放送時は当時の放送環境に合わせて画面両端がカットされていましたが、後に発売されたDVDではオリジナルの16:9ワイドサイズで視聴可能となった点も、この作品の技術的な特徴として挙げられます。

物語の中心となるのは、黒谷友香演じる主人公・安西美空です。かつてはアイドル演歌歌手として活動するも挫折し、逃げ出した過去を持つ彼女は、「楽で美味しいバイト」という広告を見て私立聖陵学園の音楽教師になります。24歳という若さながら、無鉄砲で高圧的な言動が多く、上司や保護者にもタメ口で接する奔放な性格です。実は芦屋のお嬢様という意外な一面も持ち合わせています。

彼女が担当するクラスの生徒たちも個性的です。大沢あかね演じる中野遙は老舗煎餅屋の一人娘で、元気ですが勉強が苦手で直感で動くため失敗が多いタイプ。内博貴演じる森克巳は、遙の家と隣接する新興煎餅屋の一人息子で、無口でプライドが高い元サッカーエース。芳賀優里亜演じる柴田瑞穂は内気で試験に弱い少女。田川惠理演じる有沢七海はギャル系のツンデレ。尾上寛之演じる神田篤朗はバイク屋の息子です。彼ら特進Aクラスの生徒は、合田雅吏演じる傲慢な教師・大城武によって退学に追い込まれそうになります。

学校には、山本圭演じる音楽教師・榎本俊介のような存在もいます。一見冴えない窓際族のように見えますが、実は洞察力に優れており、序盤から美空の本質を見抜き、彼女の良き理解者となります。また、遥の親友である水橋千夏（相沢優奈）や内山葉子（岸田奈緒美）、委員長の吉田恭子（堀朱里）といった生徒たちも登場します。

生徒たちの家族も物語に関わります。遙の父・源造（佐藤正宏）は味にこだわる老舗煎餅屋の職人、母・文子（竹井みどり）と共に店を切り盛りします。一方、克巳の父・恒彦（関秀人）は桃色春香のファンで、味より安さを重視する新興煎餅屋を経営しており、源造とは常に衝突しています。

脚本は篠崎絵里子、国井桂が担当し、渡辺博也が音楽を手がけました。演出は竹園元、亀井弘明、芝野昌之が務め、YeLLOW Generationの「北風と太陽」が主題歌として作品を彩りました。

『ドレミソラ』は、当時の昼ドラマとしては珍しい学園ドラマというテーマ設定、そして後のテレビ界を担うことになる若手俳優を多数起用した点で、記憶に残る作品と言えるでしょう。

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