ドロテア・フォン・ブランデンブルク (1430-1495)

ドロテア・フォン・ブランデンブルク：北欧の王妃、激動の時代を生きた女性

ドロテア・フォン・ブランデンブルク（1430年 - 1495年）は、ブランデンブルク選帝侯家の公女として生まれ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの王妃となった人物です。彼女の生涯は、15世紀の北ヨーロッパにおける政治的変動と深く結びついています。

生い立ちと最初の結婚

ドロテアは、ブランデンブルク＝クルムバッハ辺境伯ヨハン（錬金術伯）とその妻バルバラの長女として生まれました。父ヨハンは、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ1世の長男でありながら、後継者の地位を辞退したという異例の人物でした。

1445年、ドロテアはデンマーク王クリストファ3世と結婚し、王妃として戴冠しました。しかし、クリストファ3世は結婚からわずか3年後に亡くなり、二人の間に子供はいませんでした。

国王未亡人として

クリストファ3世の死後、ドロテアは国王未亡人として、新王の選出に関わることになりました。当初、枢密院は国内の貴族を新王に推挙しようとしましたが、貴族層の要求により、外国から君主を迎えるという方針に転換しました。ポーランド王カジミェシュ4世が有力候補として挙がりましたが、実現には至りませんでした。

その後、ドロテアは1449年にオルデンブルク伯クリスチャン1世と再婚しました。クリスチャン1世は、枢密院によって新王として迎えられた人物でした。

クリスチャン1世との結婚と政治的影響力

ドロテアは、賢く精力的な女性として知られ、夫クリスチャン1世の統治をよく補佐しました。彼女は、実家のブランデンブルク選帝侯家に対し、父の所領の相続を4度にわたって要求しましたが、男系相続の原則などを理由に拒否されています。

また、ドロテアは末息子のフレゼリクを寵愛し、巧みな財政運営によって、シュレースヴィヒとホルシュタインの両公爵領を夫から実質的に担保の形で譲り受け、フレゼリクに相続させました。

死去とその後

ドロテアは1495年にカロンボーで死去し、ロスキレ大聖堂の夫クリスチャン1世の隣に埋葬されました。彼女の生涯は、二度の結婚を通じて北欧の政治に深く関与し、その賢明さと政治手腕によって、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの歴史に名を刻みました。

子女

クリスチャン1世との間には、以下の5人の子供がいました。

オーラフ（1450年 - 1451年）
クヌーズ（1451年 - 1455年）
ハンス（1455年 - 1513年） - デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの王
マルグレーテ（1456年 - 1486年） - スコットランド王ジェームズ3世と結婚
* フレゼリク1世（1471年 - 1533年） - デンマーク、ノルウェーの王

ドロテア・フォン・ブランデンブルクは、激動の時代を生き抜き、その知性と政治力で北欧の歴史に大きな足跡を残した女性でした。

もう一度検索