ドロレス・イバルリ

ドローレス・イバルリ・ゴメス

ドローレス・イバルリ・ゴメス（Dolores Ibárruri Gómez, 1895年12月9日 - 1989年11月12日）は、スペインの政治家であり、特にスペイン第二共和政および内戦の時代における重要な指導者と見なされています。彼女は「ラ・パショナリア」という別名でも知られ、彼女の強い信念と演説力はその名を広めました。イバルリは、1936年から1939年にかけて続いたマドリード包囲戦の最中にたびたび目にしたスローガン「奴らを通すな！」（¡No pasarán!）や、「跪いて生きるよりも、立って死ぬ方がましだ」（Más vale morir de pie que vivir de rodillas）の言葉で有名です。

幼少期と背景

イバルリはビスカヤ県のガラルタに生まれました。家庭は11人兄弟の中で育ち、父親は鉱山労働者でありながらカトリックの熱心な信者であったため、家の中は宗教的な雰囲気に包まれていました。しかし家計の問題から、教育の道を断念し、若い頃からお針子や使用人として生活を支えることを余儀なくされました。

政治活動の始まり

彼女は1916年に鉱山労働者のフリアン・ルイスと結婚し、共に社会主義に目覚めました。これを契機に知識を深め、マルクス主義を学びながら、政治活動への道を歩み始めます。1917年のゼネラルストライキに参加し、1919年にはスペイン社会労働党のメンバーとなりました。その後、スペイン共産党の創設に関わり、アクティブな党員として活動を続けました。

イバルリは、1918年には「ラ・パショナリア」というペンネームを用いて、ビスカヤの鉱山労働者を代表する記事を執筆しました。このペンネームは、彼女自身の政治的アイデンティティを象徴するものとなりました。

内戦とその影響

1936年、イバルリは内戦の勃発を受け、共和主義者の立場から激しい演説を行い、軍事的な抵抗の象徴としての地位を確立しました。彼女の演説は、特にマドリードを守る戦闘において力強い意志を示し、多くの人々に感銘を与えました。この時期の慟哭的な叫びは、逆境に立ち向かう力強いメッセージを発信し、彼女を歴史的な人物に押し上げました。

国外亡命とその後

1939年にはフランコ政権の影響から逃れ、フランス経由でソビエト連邦に亡命しました。そこでは、もともと政治的活動を行っていた他の亡命者たちと合流し、共産主義運動の中心的な役割を担います。第二次世界大戦時には、モスクワからの放送を通じてスペイン共産党のメッセージを広めました。

1945年、彼女はパリに到着し、数年にわたる亡命生活を経た後も、政治的活動には参加し続けました。1977年、民主化が進んだスペインに帰国し、その後は再び政治の場に戻ることになります。

晩年と死

彼女は1989年に故郷であるマドリードで亡くなり、長い人生の終焉を迎えました。イバルリの遺産は、彼女の強い意志と情熱によって、スペインの歴史の中に色濃く残り続けています。彼女の言葉は、今もなお多くの人々に力を与え、歴史的な人物として崇められています。

評価と影響

イバルリはその政治活動を通じて、多くの支持を集め、反ファシズムや社会主義のシンボルとして記憶されてきました。彼女の活動は、特に女性の政治参加における重要なモデルとなり、男女平等や人権擁護の思潮を育む礎となりました。彼女が残した言葉や行動は、未来の世代にわたる希望とインスピレーションを与え続けています。

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