ドント・ブリング・ミー・ダウン

ドント・ブリング・ミー・ダウン (Don't Bring Me Down)

エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が1979年に発表したこの楽曲は、ELOにとってアメリカでの最大のヒット曲となりました。アルバム『ディスカバリー』のクロージングナンバーを飾り、ELOの音楽性を大きく変える転換点となった重要な一曲です。

概要

「ドント・ブリング・ミー・ダウン」は、シンプルな8ビートでありながら、ヘビーなリフの繰り返しが印象的な楽曲です。このグルーヴィーなサウンドは、ロックファンだけでなく、ディスコブーム終盤のダンスフロアでも支持を集め、英米で大ヒットを記録しました。

ELOの代表的なサウンドの特徴であったストリングス・セクションを完全に廃した初の楽曲であり、当時、物議を醸しました。しかし、ジェフ・リンはアルバムの最終段階で、アルバムに勢いのある曲が不足していると感じ、この曲を制作しました。

「オン・ザ・ラン」のドラムトラックを減速させたものをループさせ、ほぼジェフ・リン一人のジャムセッションのような形で制作されました。驚くべきことに、すべてのトラックの録音は2時間、歌詞は20分で書き上げられ、楽曲全体がわずか1日で完成したと言われています。

音楽的な特徴と影響

この楽曲は、ELOがジェフ・リンのソロ・プロジェクトとしての色合いを強めていく転機となりました。また、次作『タイム』以降のアルバムに、シングルカット向けのロックンロールナンバーが収録されるようになったきっかけとも言われています。

発表以来、ライブでは欠かさず演奏されており、80年代のコンサートでは、曲の後半でバースを繰り返し、観客に合唱を促すパフォーマンスが定番となっていました。

アルバム版の楽曲が終わった後に聞こえるのは、スタジオの非常ドアが閉まる音というユニークな演出も施されています。

グルース（Groos）騒動

サビ部分で繰り返される「グルース」というシャウトは、ジェフ・リンが仮歌として適当に歌ったものでした。しかし、ドイツ人エンジニアが「グルースはドイツ語の挨拶だ」と指摘したことから、そのまま採用されることになりました。ところが、コンサートで演奏される際、観客はこの部分を「ブルース（Bruce）」と間違えて歌うことが多発しました。しまいには、「ブルースはELOが雇った弁護士の名前だ」という噂まで広まりました。この状況を受けて、ジェフ・リン自身もコンサートでは「ブルース」と歌うようになったというエピソードがあります。

Mr. Blue Sky: The Very Best of Electric Light Orchestra

2012年に発表されたジェフ・リンによるセルフカバーアルバム『Mr. Blue Sky: The Very Best of Electric Light Orchestra』にも収録されています。このトラックは2000年代後半には既に録音されており、映画やテレビ番組、ゲームなどにも使用されていましたが、フルバージョンはこのアルバムで初めて公開されました。もちろん、サビの部分は「ブルース」と歌われています。

「ドント・ブリング・ミー・ダウン」は、ELOの音楽的な変遷と、ジェフ・リンの才能が凝縮された、バンドを代表する一曲として、長く愛され続けています。


外部リンク

http://www.jefflynnesongs.com/dontbringmedown/

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