ドン・ブラウン

ドン・ブラウン：GHQ情報課長として戦後日本のメディアに影響を与えた人物

ドン・ブラウン（Donald Beckman Brown, 1905年6月24日 - 1980年5月17日）は、アメリカ人のジャーナリストであり、第二次世界大戦後にはGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）の情報課長として、日本の占領政策において重要な役割を果たしました。彼は、アメリカ式のパブリック・リレーションズの概念を日本に紹介した人物として知られています。

生い立ちと初期のキャリア

オハイオ州クリーブランドで生まれたブラウンは、1926年にピッツバーグ大学で学士号を取得。1930年に初来日し、その目的は明確ではありませんが、『クリスチャン・サイエンス・モニター』や『シカゴ・デイリー・ニューズ』に記事を寄稿しました。その後、1933年から東京の英字新聞『ジャパン・アドヴァタイザー』で記者として活動しましたが、1940年に同紙が『ジャパン・タイムズ』に買収されたため、帰国。

戦時中の活動

アメリカ帰国後、ブラウンはUP通信記者を経て、1942年に戦時情報局(OWI)に入局。対日プロパガンダの一環として、対日宣伝ビラの作成や海外映画課に所属し、戦後の極東におけるアメリカ映画配給体制に関する提案などを行いました。1944年7月には、対日宣伝ビラ作成の指導のためオーストラリアに派遣されました。

GHQでの活動

終戦後、OWIが国務省国際情報局に吸収されたことを受け、ブラウンは国務省からの派遣という形で、1945年12月にGHQの[民間情報教育局]に再来日。マスメディア政策担当員として、新聞・出版課の課長代理を経て、1946年7月に情報課長に昇進し、占領終了までその職を務めました。CIEは1949年に、日本の政府広報やマスコミ関係者を集め、広報講習会を開催し、ブラウンはその中心的な指導者となりました。また、外国映画の許可や検閲、外国文献の翻訳認可、図書館政策など、幅広い分野に関与し、日本出版協会による戦争責任追及や用紙統制など、メディアに対する影響力を強めました。

戦後と晩年

1952年、ブラウンは在日アメリカ軍の極東軍司令部に移り、情報担当官となりました。また、日本アジア協会の理事となり、会報誌の編集長も務めました。1980年に名古屋で死去。家族がいなかったため、遺産は友人の弁護士トマス・L・ブレイクモアが管財人となりました。

ドン・ブラウン・コレクション

初代CIA東京支局長のポール・ブルームの紹介により、ブラウンが収集した日本関連の資料約1万点が、横浜開港資料館に「ドン・ブラウン・コレクション」として収蔵されました。このコレクションは、戦時中から占領期にかけての日本に関する貴重な資料であり、現在も研究に活用されています。

ドン・ブラウンの遺産

ドン・ブラウンは、戦後の日本のメディアと文化に大きな影響を与えた人物です。彼の活動は、アメリカの対日占領政策の一側面を示すだけでなく、その後の日米関係にも影響を与えたと言えるでしょう。

関連文献

『図説 ドン・ブラウンと昭和の日本 〈コレクションで見る戦時・占領政策〉』
『GHQ情報課長 ドン・ブラウンとその時代―昭和の日本とアメリカ』
『現代日本の図書館構想　戦後改革とその展開』

関連項目

ボーン・上田記念国際記者賞
* エドガートン・ハーバート・ノーマン

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