ドーチェスター・コレクション

ドーチェスター・コレクション

ドーチェスター・コレクション（英語: Dorchester Collection）は、イギリスの首都ロンドンに本社機能を置く、世界有数のラグジュアリーホテルグループです。ブルネイの政府系投資機関であるブルネイ投資庁の傘下に属し、極めて質の高いサービスと施設を誇るホテル群を保有・運営しています。

沿革

このコレクションの歴史は、1987年に当時のブルネイ国王であり、資産家としても著名なハサナル・ボルキア氏が、ロンドンの名門「ザ・ドーチェスター」と、ハリウッドの伝説的なホテル「ザ・ビバリーヒルズ・ホテル」を取得したことから始まりました。これらの象徴的なホテル資産は、1991年にブルネイ投資庁へその所有権が移管されました。

その後、ホテル資産の効率的な管理・運営体制を確立するため、ブルネイ投資庁は1996年にホテル運営を専門とする組織として「オードリー・グループ」を設立しました。この組織は後に「ドーチェスター・グループ」と改称され、さらに2006年11月には、現在の名称である「ドーチェスター・コレクション」へと名称変更を行うとともに、グローバルなラグジュアリーブランドとしてのリブランディングが図られました。以来、厳選された最高級ホテルをポートフォリオに加え、その規模と影響力を拡大しています。

事業内容と特徴

ドーチェスター・コレクションは、単にホテルを所有するだけでなく、その運営管理も自ら手掛けています。その事業モデルは多様であり、自社で完全に所有するホテルもあれば、第三者の資産所有者から委託を受けて取得や運営管理を行うプロパティも含まれており、そのポートフォリオには様々な所有形態のホテルが混在しています。

現在、ドーチェスター・コレクションは、世界各地の主要都市やリゾート地に位置する、個性豊かな9軒の最高級ホテルを運営しています。これらのホテルは、それぞれの土地の文化や歴史を尊重しつつ、ドーチェスター・コレクション共通の卓越したサービス基準と、比類なきホスピタリティを提供することで知られています。各ホテルは、その建築、デザイン、そしてゲスト体験において、最高のラグジュアリーを追求しています。

運営ホテル一覧

ドーチェスター・コレクションが現在運営するホテルは以下の通りです（2024年時点の情報に基づく）。

イギリス
ザ・ドーチェスター（ロンドン）
コワース パーク（アスコット近郊）
45 パーク レーン（ロンドン）
フランス
ル・ムーリス（パリ）
ホテル・プラザ・アテネ（パリ）
イタリア
ホテル・プリンチペ・ディ・サヴォイア（ミラノ）
ホテル エデン（ローマ）
アメリカ合衆国
ザ・ビバリーヒルズ・ホテル（ビバリーヒルズ）
* ホテル・ベル・エアー（ロサンゼルス）

アジアへの進出

近年、ドーチェスター・コレクションはアジア市場への進出計画を積極的に進めています。その最初の拠点として選ばれたのが日本、具体的には東京都千代田区です。現在、東京駅前で建設が進められている、完成時には高さ385メートルとなり日本で最も高い超高層ビルとなる見込みの「Torch Tower」内に、新たなホテルを開業する計画が進行中です。

この東京の新しいホテルは、ビルの高層階、53階から58階部分に入居し、2028年の開業を目指しています。これはドーチェスター・コレクションにとって、アジア地域で初めてのプロパティとなります。この記念碑的な開業に先立ち、同コレクションは2023年には東京に日本地区セールスオフィスを開設しており、国内市場におけるブランド認知向上と事業基盤の構築に向けた準備を着実に進めています。

ドーチェスター・コレクションは、その豊かな歴史、世界最高峰のホスピタリティ、そして戦略的な事業展開を通じて、世界のラグジュアリーホテル業界において独自の地位を確立しています。東京での開業は、そのグローバル展開における新たな重要な一歩となるでしょう。

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