ドーバー (イギリス)

ドーバー：白い崖と歴史が織りなす英国の玄関都市

ドーバーは、イギリス南東部、ケント州に位置する港湾都市です。英仏海峡に面し、フランスのカレーまでわずか34キロメートルと、ヨーロッパ大陸に最も近い英国の都市の1つとして知られています。その美しい白い崖は、英国の象徴的な風景として世界的に有名で、古くから人々を魅了してきました。

白く輝く崖と、その歴史

ドーバーの白い崖は、石灰岩から形成されたもので、その壮大な景観は「ドーバーの白い崖」として広く知られています。この白い崖は、英国の古称「アルビオン」(Albion) の由来にもなっていると言われています。アルビオンはラテン語で「白い」を意味し、この白い崖が英国の印象を決定づけたと言えるでしょう。 ドーバーという地名は、古ブルトン語の「水」を意味する言葉に由来し、フランス語では「ドゥヴレ」と呼ばれています。

重要な港湾都市としての歴史

ドーバーは、古くから重要な港湾都市として栄えてきました。紀元前1550年頃のものと推定される青銅器時代の船の発見は、ドーバーが当時から海峡間の交易において重要な役割を果たしていたことを示しています。 ローマ時代には「ポルトゥス・ドュブリス」と呼ばれ、重要な軍事拠点として機能しました。ローマ時代の建造物であるドーバー城の原型となる灯台や、保存状態の良い「ドーバー・ローマ壁画の家」は、古代ローマの面影を今に伝えています。

アングロサクソン時代には城塞が築かれ、中世には五港(Cinque Port) の一つとして繁栄しました。 清教徒革命や、ドーバーの密約（フランスのルイ14世との条約）など、イギリスの歴史において重要な出来事が数多く発生した場所でもあります。20世紀の世界大戦では、英仏海峡防衛の中心的な役割を担い、激しい攻撃を受けながらも、その役割を果たしました。戦争中は、ドーバーの崖の下の洞窟やトンネルが防空壕として使用され、人々の避難場所となりました。

現代のドーバー

現代のドーバーは、年間約180万人の乗客が利用する、イギリスで最も忙しい港湾都市の一つです。フランスのカレーやダンケルクへの定期フェリーが頻繁に運航しており、ヨーロッパとイギリスを繋ぐ重要な交通の要衝となっています。近年では、オステンド行きの双胴船の運航も開始されるなど、国際的な港湾としての機能をますます高めています。

ドーバーの魅力：観光名所

ドーバーには、歴史的な建造物や自然の景観など、多くの観光名所があります。

ドーバー城: ローマ時代の灯台を起源とする、壮大な城塞。
ドーバー・ローマ壁画の家: ブリテン島で最も保存状態の良いローマ時代の邸宅。
ドーバーの白い崖: 英国を代表する景観。
ドーバー博物館: 青銅器時代の船など、ドーバーの歴史を物語る貴重な展示品を所蔵。
* その他: ドーバー砲塔、バーゴイン要塞、カースニー修道院、ラッセル庭園、サムフィアー＝ホー自然保護区など、多くの観光スポットがあります。

ドーバー：過去と現在が交差する街

ドーバーは、その悠久の歴史と、現代の活気ある港湾都市としての姿を見事に両立させています。白い崖、古代遺跡、そして現代の賑わい。ドーバーは、英国の歴史と文化を肌で感じることができる、魅力的な都市です。サッカークラブチーム「ドーバー・アスレティックFC」もあり、地元住民にも愛されています。姉妹都市として、アメリカのヒューバー・ハイツ、フランスのカレー、クロアチアのザグレブと友好関係を築き、国際的な交流も盛んです。

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