ドーベルマン (映画)

『ドーベルマン』

『ドーベルマン』（Dobermann）は、1997年にフランスで製作された犯罪アクション映画です。オランダ出身の映像作家であるヤン・クーネンがメガホンを取り、フランスの作家ジョエル・ウサンによる警察小説シリーズを原作としています。その過激でスタイリッシュな描写から、「バイオレンス・コミック・アクション」とも評される作品です。

ストーリー

物語は、フランスの首都パリで発生する一連の大胆な強盗事件から幕を開けます。これらの事件を引き起こしているのは、「ドーベルマン」と名乗る男が率いる特異な強盗団です。リーダーであるヤン・ルパントレック、通称「ドーベルマン」は、まるで生まれながらにして犯罪のために生まれてきたかのようなカリスマ性と手腕を持つ人物です。

彼の率いる一味は、それぞれが強烈な個性を持つ犯罪者たちの集まりです。メンバーには、薬物に深く依存し、常に殺人の衝動に駆られている危険な男ムス。巨大な体格を持ち、トレードマークの斧を振り回す一方で、犬をこよなく愛するピットビュルことジャッキー・シュエール。敬虔な神父のふりをしながら、聖書の中に手榴弾を隠し持つ男。女装を好み、ドラッグクイーンとしての一面を持つ同性愛者のソニアことオリヴィエ・ブラシェ。廃車回収業者として働きながら、機関銃の扱いに長けたレオ。そして、ヤンの恋人であり、爆発物のエキスパートである聾唖の美女ナット。さらに、ナットの兄で、遠距離からの精密な狙撃を得意とするマニュといった、多彩かつ破天荒な顔ぶれが揃っています。

彼らは周到な計画と、それぞれの特殊なスキルを活かして、警察の捜査網を嘲笑うかのように次々と鮮やかな手口で強盗を成功させていきます。一味の巧妙かつ大胆な犯行に、追い詰められたパリ市警は、事態の打開を図るため、ある切り札を投入します。それが、目的達成のためには一切の手段を選ばない冷酷無比な人物として知られる、ソヴォール・クリスチーニ警視です。クリスチーニ警視は、ドーベルマン一味を壊滅させるため、常識にとらわれない苛烈な捜査を開始するのでした。こうして、規格外の強盗団と非情な捜査官による、壮絶かつバイオレンスに満ちた対決が展開されていきます。

主要キャスト

“ドーベルマン”ヤン・ルパントレック：ヴァンサン・カッセル
ソヴォール・クリスチーニ警視：チェッキー・カリョ
ナット・ラ・ジターヌ：モニカ・ベルッチ
ムス：アントワーヌ・バズラー
神父：ドミニク・ベテンフェルド
”ピットビュル”ジャッキー・シュエール：チック・オルテガ
マニュ：ロマン・デュリス
レオ：フランソワ・レヴァンタル
* “ソニア”オリヴィエ・ブラシェ：ステファン・メツガー

※日本語吹替版では、ドーベルマンをダイアモンド☆ユカイ、クリスチーニ警視を堀勝之祐、ムスを大塚芳忠、ピットビュルを立木文彦、ソニアを関俊彦、レオを中田譲治らが担当しました。

備考

本作には、ユーモラスな要素や日本のサブカルチャーへの言及も見られます。例えば、強盗団の一員であるピットビュルが可愛がっている愛犬の名前は「ゴジラ」であり、劇中では日本の特撮映画シリーズ「ゴジラ」について触れる場面が存在します。また、本作の原作であるジョエル・ウサンの警察小説は、映画の公開に合わせて、映画のシナリオを基にして新たに書き下ろされたノベライズ版が日本でも出版され、ファンから注目を集めました。

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