ナイ郡 (ネバダ州)

ナイ郡の概要

ナイ郡（ナイぐん）は、アメリカ合衆国ネバダ州に位置する郡で、その面積は47,030平方キロメートルに達し、アラスカ州を除く大陸アメリカの郡の中では3番目の広さを誇ります。2020年のデータによると、郡の人口は約51,591人です。郡庁所在地はトノパーにあり、ここが行政の中心となっています。特筆すべきは、ナイ郡内には法人化された都市が存在せず、実質的な中心都市は近隣にあるパーランプです。

パーランプと住民の分布

ナイ郡の人口の大部分はパーランプに集中しており、約86%の住民がこの町に住んでいます。トノパーからパーランプまでは約260キロメートル離れており、州内の主要な都市とはある程度の距離があります。ナイ郡は「ナイの王国」という愛称を持ち、この名称はアート・ベルが司会を務める人気ラジオ番組「Coast to Coast AM」に由来しています。

環境と政治的焦点

ナイ郡にはネバダ核実験場や計画中のユッカ山核廃棄物貯蔵所が存在し、これらは州内での政治議論の重要なテーマとなっています。連邦政府が郡内の大部分の土地（92%）を管理しているため、土地利用に関する議論も活発に行われています。また、ナイ郡内にはアッシュメドウズ国立野生生物保護区やデスヴァレー国立公園の一部があり、自然環境への配慮も見られます。観光業の面では、デスヴァレー観光を目的に訪れる人々が、ベイディやアマルゴサバレーに滞在することが多いです。

歴史的背景

ナイ郡は1864年に設立され、初代知事のジェイムズ・W・ナイにちなんで命名されました。当初の郡庁所在地はイオンでしたが、1867年にはベルモント、さらに1905年には現在のトノパーに移転されました。20世紀初めには、鉱業ブームによってライオライトやトノパー、ゴールドフィールドが繁栄しました。特に1906年にはゴールドフィールドの人口が3万人を超え、ナイ郡の経済は充実していました。

人口の変遷

しかし、その後の鉱業衰退によって、ナイ郡の人口は1910年までに約7,500人に減少し、20世紀中頃にはさらに少なくなりました。人口が安定してきたのはネバダ核実験場が開設された後であり、その後パーランプはラスベガスのベッドタウンとして成長していきました。郡庁所在地の移転や南部の独立に関する議論も繰り返されましたが、実現には至っていません。

地理と交通

ナイ郡はネバダ州の南中部に位置しており、その面積はアメリカの中でも非常に大きいです。この郡で最も高い地点はジェファーソン山で、標高は11,814フィート（約3,601メートル）です。また、主な交通路としてはアメリカ国道95号線、国道6号線、ネバダ州道160号線等があり、特にラスベガスとカーソンシティを結ぶ重要な幹線道路として機能しています。

経済と人口動態

ナイ郡はネバダ州の他の郡と比較して、非ヒスパニック系白人の割合が高く、2020年には82.7%に達しています。アフリカ系アメリカ人やアジア系アメリカ人はそれぞれ1.7%と1.0%と少数派ですが、人口は年々増加傾向にあります。また、ナイ郡内では売春が合法化されており、これが地元経済に貢献しているとの報告もあります。自殺率が高いことが問題視されており、特に1980年代から1990年代にかけてのデータでは、人口10万人あたりの自殺者数がネバダ州の中でも高い水準にあります。

ナイ郡はユニークな歴史と地理、文化を持つ地域であり、今後の発展が期待される場所です。

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