ナクソス (レコードレーベル)

ナクソス（NAXOS）

ナクソスは、1987年にドイツの実業家クラウス・ハイマンと日本人ヴァイオリニスト西崎崇子によって香港で設立されたクラシック音楽のレコードレーベルです。このレーベルは、音楽ホールやCD店でよく目にする“お買い得価格の新譜”を数多く提供し、幅広いレパートリーを扱うことで知られています。

設立の背景

ナクソスは実は、1982年に設立された「マルコ・ポーロ」というレーベルから進化したものです。マルコ・ポーロは、比較的知られていない「秘曲」の録音を専門にしていましたが、ナクソスはそれに代わり、より一般的で人気のあるクラシック音楽の作品を中心に展開しました。この哲学に基づき、ナクソスは新譜のリリースを迅速に行い、価格を抑える努力をしています。

その結果、しばしば「安かろう悪かろう」という印象を受けることもありますが、実際には古楽や現代音楽、日本人及びアメリカ人作曲家の作品など、独自のレパートリーも積極的に取り入れ、品質の確保に努めています。ナクソスの戦略的な制作方針の一例として、2001年にリリースされたカリンニコフの交響曲は、販売面で驚異的な成功を収め、業界の注目を集めました。

ナクソスは、「クラシック音楽の百科事典を目指す」という明確なビジョンを掲げています。この目標のもと、古楽から近現代の作曲家に関する全集企画も進めており、特に1990年代以降はSP録音を復刻した「ナクソス・ヒストリカル」シリーズや、日本人作曲家の作品を特集した「日本人作曲家撰」というプロジェクトが好評を得ています。

演奏家たち

ナクソスは香港を拠点とする特性から、香港やシンガポールの演奏者や、予算に優しい中東欧のオーケストラと提携することが多いです。初期の頃から企業の顔として活躍してきた奏者には、ピアニストのヤンドー・イェネーやチェリストのマリア・クリーゲル、指揮者のアントーニ・ヴィットなどがいます。さらに、創業者のハイマン氏の妻である西崎崇子のヴァイオリン recordings も多数存在します。ナクソスの名声が高まるにつれ、著名な音楽家が同レーベルでの録音の機会を見出しています。

国際コンクールにおける支援というポリシーも、設立初期から続けており、優勝者にはNAXOSのCDデビューを提供することが増えています。この流れの中で、ナクソスはより多くの刺激的な新進演奏家の発掘にも力を入れています。

プロジェクトとシリーズ

ナクソスの製品群には、ウィンドバンド・クラシックス、スパニッシュ・クラシックス、イタリアン・クラシックスなど、各種国ごとの作曲家をテーマにしたシリーズが存在します。また、「日本作曲家選輯」では、クラシックファンにはあまり知られていない日本の作品を多数収録し、特に注目されています。これまでに伊福部昭や山田耕筰の作品などがリリースされ、日本の音楽を広める重要な役割を果たしています。

さらに、アメリカン・クラシックスシリーズではアメリカの音楽の多様性を追求し、バーンスタインの作品からユダヤの伝統に基づく声楽曲まで幅広く収録しています。

ナクソスはその多彩なレパートリーと質の高い制作によって、クラシック音楽界で確固たる地位を築いており、今後の展開にも大いに期待が寄せられています。

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