ナショナル・ギャラリー (ロンドン)

ナショナル・ギャラリーの概要

ナショナル・ギャラリー（National Gallery）は、イギリス・ロンドンのトラファルガー広場に位置する著名な美術館です。1824年に設立されたこの美術館は、13世紀半ばから1900年までの西洋絵画を中心に2,300点以上の作品を所蔵しています。

ナショナル・ギャラリーのコレクションは、広く一般に公開されており、特別な企画展を除けば無料で入館できるため、誰でも気軽に訪れることができます。ただし、運営のための維持管理費用を賄うため、各所に寄付箱が設けられています。

設立の背景

ナショナル・ギャラリーは、他のヨーロッパ諸国の国立美術館とは異なり、王室や貴族のコレクションから始まったのではなく、保険ブローカーであり美術の後援者でもあったジョン・ジュリアス・アンガースタインによって集められた38点の絵画がコレクションの基盤となりました。最初の収蔵品の多くは個人からの寄付や購入によるものであり、このため作品数は他国に比べて少なめですが、重要性の高い作品が揃っています。特に「ジョットからセザンヌまで」と称される美術史上重要な作品を収蔵している点が特筆されます。

建物と拡張

ナショナル・ギャラリーの現在の建物は三代目のもので、1832年から1838年にかけて建築家ウィリアム・ウィルキンスによって設計されました。開館後、美術館は徐々に拡張され、特に1991年に完成したセインズベリー棟はポストモダン建築として知られています。この棟は主にルネサンス絵画を展示するために設計されました。

一方で、ウィルキンスの設計した初期の建物はサイズが手狭であったため、1897年には専門の美術館であるナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アートが開設されることとなりました。このやり方は、ナショナル・ギャラリーが所蔵する西洋絵画の展示スペースを確保するための一環として機能しました。

美術館の目的と成長

美術館は設立当初から国民が美術に触れ合う場として機能しており、様々な年代の作品が収蔵されています。特に、15世紀から16世紀にかけてのイタリア絵画が重点的に収集されており、館長のチャールズ・ロック・イーストレイクは積極的に海外での購入活動を行い、多くの重要な作品をナショナル・ギャラリーに迎え入れました。これにより、ナショナル・ギャラリーのコレクションはより広範囲にわたるものとなりました。

戦時中の影響と現在

ナショナル・ギャラリーは、第二次世界大戦中に多くの作品をウェールズやカナダに移動させ、戦後も多くの作品が戻ってきました。現在では、著名な絵画として、ルネサンスの巨匠であるダ・ヴィンチやティツィアーノの作品が多く収蔵されています。

美術館の成長は続き、館長による新しい購入や寄付が行われ、新たな作品が加わることで、常に新しい文化的価値を生み出しています。特に、アート・ファンドなどを通じて資金を調達し、重要な作品の購入に至る努力が続けられています。

ナショナル・ギャラリーは、今後も多くの訪問者にアートの魅力を伝え続けることでしょう。また、絵画の展示方法や館内の配置にも工夫が凝らされ、訪れる人々に新しい体験を提供しています。

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