ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 (1932年)

1932年12月22日、第4回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の受賞作品が発表されました。

この賞は、アメリカ合衆国の映画批評家団体であるナショナル・ボード・オブ・レビューが、前年に公開された優れた映画を表彰するものです。1932年の授賞式では、数多くの話題作がノミネートされ、激しい競争が繰り広げられました。

最も権威ある作品賞には、メルヴィン・レロイ監督の『[仮面の米国]』が選ばれました。この作品は、冤罪で刑務所に送られた男の脱獄と、その後の人生を描いた社会派ドラマです。当時のアメリカ社会が抱えていた、司法制度の不備や貧富の格差といった問題を鋭くえぐり出し、高い評価を得ました。

作品賞の候補には、『お気に召す儘(As You Desire Me)』、『[愛の嗚咽]』、『戦場よさらば(A Farewell to Arms)』、『暗黒街の顔役(Scarface)』、『類人猿ターザン(Tarzan the Ape Man)』、『[極楽特急]』、『二秒間(Two Seconds)』など、現在でも名作として語り継がれる作品が名を連ねていました。多様なジャンルが競い合い、当時の映画界の活況を物語っています。

また、外国語映画賞は[フランス]]の『自由を我等に]』が受賞しました。この作品は、[[フランスの社会主義的リアリズムを代表する作品であり、コミカルなタッチの中に鋭い社会批判が込められている点が評価されました。候補作品には、ドイツ、イギリス、ソビエト連邦など、世界各国からの作品がノミネートされ、国際的な映画文化の交流が盛んだったことを示しています。『炭坑(Kameradschaft)』、『制服の処女(Mädchen in Uniform)』、『モナ・リザの失踪(Der Raub der Mona Lisa)』といったドイツ映画の健闘も目立ちました。これらの作品は、それぞれの国の文化や社会状況を反映しており、国際的な視点から映画芸術を評価するこの賞の意義を改めて示すものとなりました。

1932年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞は、アメリカ映画黄金時代の幕開けを告げる重要な出来事となりました。受賞作品は、後の映画制作に大きな影響を与え、今日にいたるまで高く評価されています。これらの作品は、歴史的、文化的価値も高く、現代の観客にとっても十分に楽しめる作品となっています。この年の受賞作を改めて振り返ることで、1930年代の映画界の状況や、社会情勢を理解する上で貴重な知見が得られるでしょう。

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