ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 (1937年)

1937年12月30日、第9回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の発表がありました。この賞は、アメリカ合衆国の映画批評家団体であるナショナル・ボード・オブ・レビューが選出する権威ある賞です。

この年の発表では、作品賞として10本の優れた映画が選出されました。受賞作には、ロバート・モンゴメリーとメイ・ウィッティが主演する『夜は必ず来る』、ポール・ムニが熱演する『ゾラの生涯』、ハンフリー・ボガートが出演する『黒の秘密』など、バラエティ豊かな作品が名を連ねています。その他にも、社会派ドラマ『明日は来らず』、パール・バックの同名小説を映画化した『大地』、話題作『スタア誕生』など、時代を反映した名作が多数含まれていました。これらの作品は、当時のアメリカ映画界を代表する作品群として高い評価を受けていました。

また、外国語映画賞では世界各国から9作品がノミネートされました。フランス映画『うたかたの恋』、オーストリア映画『The Eternal Mask』、ソビエト連邦映画『Baltic Deputy』など、多様な文化圏の作品が競い合ったことが分かります。イギリス映画『カラナグ』、アメリカとスペイン、ドイツ合作の『The Spanish Earth』などもノミネートされ、国際的な視点を取り入れた選考が行われたことがうかがえます。特に『うたかたの恋』は、ダニエル・ダリューの演技が評価された点も注目に値します。

さらに、この年の授賞式では、主要な演技賞も発表されました。主演男優賞には『黒の秘密』で強烈な印象を残したハンフリー・ボガート、『ゾラの生涯』で名優ぶりを発揮したジョセフ・シルドクラウト、『夜は必ず来る』で繊細な演技を見せたロバート・モンゴメリーなどが受賞しました。一方、主演女優賞は、『椿姫』で圧倒的な存在感を示したグレタ・ガルボ、『大地』で深みのある演技を見せたルイーゼ・ライナー、『夜は必ず来る』で高い評価を得たメイ・ウィッティらが受賞しました。これらの受賞者は、それぞれ異なるタイプの演技で観客を魅了し、アメリカ映画界を牽引したスターたちでした。

第9回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞は、1937年の映画界を代表する作品と俳優たちの功績を称える盛大なイベントとなりました。受賞作品とノミネート作品は、現代においても高い評価を受けており、当時の映画史を知る上で貴重な資料となっています。これらの作品群を振り返ることで、1930年代後半のアメリカ映画界の隆盛と多様性、そして世界的な映画潮流の一端に触れることができます。

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