ナタリー・コール

ナタリー・コール：ジャズとR&Bのレジェンド

ナタリー・コール (1950年2月6日-2015年12月31日) は、アメリカのシンガーソングライターとして、世界中にその名を知られた存在です。名高いジャズミュージシャン、ナット・キング・コールを父に持ち、その才能を受け継ぎながらも、独自の音楽性を確立して活躍しました。

華々しいデビューと数々のヒット曲

カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれたナタリーは、幼少期から音楽に囲まれた環境で育ちました。その才能は早くから開花し、1975年に歌手デビューを果たします。デビューシングル「This Will Be」は、ビルボード全米総合チャートで6位を記録する大ヒットとなり、第18回グラミー賞で最優秀R&B女性ボーカル賞と最優秀新人賞を受賞するという快挙を達成しました。

その後も、1976年には初来日公演を行い、東京音楽祭でグランプリを受賞するなど、日本でも人気を博しました。「Mr. Melody」や「I've Got Love On My Mind」といったヒット曲で、70年代の音楽シーンを彩りました。

苦悩と復活

しかし、1980年代に入ると、ナタリーの音楽活動は苦境に立たされます。セールスは低迷し、麻薬依存症に苦しむ時期もありました。一時活動を休止せざるを得ない状況に陥りましたが、1988年に「Pink Cadillac」の大ヒットで華麗に復活を果たします。

父との共演と伝説的アルバム

1989年には「Miss You Like Crazy」が、ビルボードのR&B部門とアダルト・コンテンポラリー部門で1位を獲得するなど、世界的な成功を収めました。そして、1991年に発表されたアルバム『Unforgettable... with Love』は、彼女のキャリアの頂点を飾る作品となりました。このアルバムは、ナタリーが偉大な父ナット・キング・コールの楽曲をカバーしたもので、特に「Unforgettable」では、亡き父の音源とナタリーの歌声がオーバーダブされ、まるで父娘が共演しているかのような感動的な仕上がりとなりました。このアルバムは全米ポップチャートで5週連続1位を獲得し、ジャズ作品としては異例の大ヒットを記録。第34回グラミー賞では最優秀アルバム賞を受賞し、「Unforgettable」はソング・オブ・ザ・イヤーにも輝きました。この「父との共演」は、世界中の人々の心を掴み、大きな話題となりました。

病気と死去

2008年にはC型肝炎による健康問題のため、腎臓移植手術を受けました。そして、2015年12月31日、心臓疾患のためロサンゼルスで65歳で亡くなりました。

多彩なディスコグラフィー

ナタリー・コールは、数多くのアルバムをリリースし、その音楽性は多岐に渡ります。70年代の洗練されたR&Bサウンドから、80年代のポップな楽曲、そして父へのオマージュであるジャズカバーアルバムまで、彼女の音楽遍歴は幅広く、時代を超えて聴く人の心を掴みます。代表的なアルバムには以下のようなものがあります。

Inseparable (1975)
Natalie (1976)
Unpredictable (1977)
Thankful (1977)
I Love You So (1979)
We're the Best of Friends (1979) with ピーボ・ブライソン
Don't Look Back (1980)
Happy Love (1981)
I'm Ready (1983)
Dangerous (1985)
Everlasting (1987)
Good to Be Back (1989)
Unforgettable... with Love (1991)
Take a Look (1993)
Holly & Ivy (1994)
Stardust (1996)
Snowfall on the Sahara (1999)
Ask a Woman Who Knows (2002)
Leavin' (2006)
Still Unforgettable (2008)
* Natalie Cole en Español (2013)

日本公演

ナタリー・コールは、日本でも高い人気を誇り、1976年と1977年に来日公演を行っています。これらの公演は、日本のファンにとって忘れられない思い出となっています。

ナタリー・コールの音楽は、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。彼女の音楽を通して、私たちは彼女の情熱、才能、そして人生のドラマを感じ取ることができます。彼女の功績は、音楽史に永遠に刻まれるものとなるでしょう。

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