ナチュラリー (桜田淳子のアルバム)

桜田淳子『ナチュラリー』

桜田淳子が1983年9月21日にビクター音楽産業からリリースしたスタジオ・アルバムです。当時の彼女の表現者としての成熟期に焦点を当て、日本の音楽界で活躍する実力派のクリエイターたちが集結して制作されました。

制作陣

本作には、多彩なソングライターやアレンジャーが参加しています。楽曲提供者としては、独自の叙情世界を持つ小椋佳、ポップかつメロディアスな楽曲を得意とするタケカワユキヒデ、フォーク界の重鎮である堀内孝雄、「SHŌGUN」のギタリストとして知られる芳野藤丸らが名を連ねており、アルバムに豊かな音楽性をもたらしています。

作詞面では、桜田淳子のキャリア初期から多くのヒット曲を生み出した阿久悠が、本作で久々に3曲の歌詞を提供しています。このほか、福永ひろみ、羽岡仁、茅野遊、三浦徳子、松宮恭子といった作詞家が参加。小椋佳は作詞・作曲の両方でクレジットされており、彼の世界観がより色濃く反映された楽曲となっています。

編曲は、萩田光雄が1曲を担当している以外は、全ての楽曲を奥慶一が手掛けています。奥慶一による一貫したサウンドメイキングが、アルバム全体のトーンを決定づける重要な要素となっています。

収録曲

『ナチュラリー』に収録された全10曲は以下の通りです。各楽曲には、参加したクリエイターの個性が光ります。

1. Yesが欲しい(らぶれたあ) （5:07）
作詞：阿久悠 / 作曲：タケカワユキヒデ / 編曲：奥慶一
アルバムの幕開けを飾る一曲で、阿久悠とタケカワユキヒデ、そして奥慶一の組み合わせによる楽曲です。
2. 台(せりふ)詞 （4:09）
作詞：阿久悠 / 作曲：芳野藤丸 / 編曲：奥慶一
阿久悠作詞によるもう一曲。芳野藤丸のメロディと奥慶一の編曲が特徴です。
3. Home （5:01）
作詞：福永ひろみ / 作曲：川上了 / 編曲：奥慶一
福永ひろみ作詞、川上了作曲による楽曲。奥慶一の編曲で温かみのあるサウンドが期待されます。
4. エンディングはスパイシー （3:53）
作詞：福永ひろみ / 作曲：川上了 / 編曲：奥慶一
こちらも福永ひろみ、川上了コンビによる楽曲。タイトルからリズミカルな印象を受けます。
5. 予感 （4:06）
作詞・作曲：羽岡仁 / 編曲：萩田光雄
本作で唯一、萩田光雄が編曲を手掛けた楽曲。作詞・作曲も羽岡仁が担当しています。
6. 眉月夜 （4:10）
作詞：茅野遊 / 作曲：小椋佳 / 編曲：奥慶一
茅野遊が作詞し、小椋佳が作曲した楽曲。小椋佳ならではの叙情的なメロディラインが魅力です。
7. 数えないで （4:08）
作詞・作曲：小椋佳 / 編曲：奥慶一
小椋佳自身が作詞作曲を手掛けた一曲。彼の世界観がストレートに表現されています。
8. 許してくれていいじゃない （4:34）
作詞：三浦徳子 / 作曲：タケカワユキヒデ / 編曲：奥慶一
三浦徳子作詞、タケカワユキヒデ作曲による楽曲。奥慶一によるサウンドアレンジが施されています。
9. ヤジロベーは悩んでる （3:45）
作詞：阿久悠 / 作曲：芳野藤丸 / 編曲：奥慶一
阿久悠が作詞した3曲目であり、芳野藤丸が作曲を担当したユニークなタイトルの楽曲です。
10. 私だけのウェディング （4:28）
作詞：松宮恭子 / 作曲：堀内孝雄 / 編曲：奥慶一
松宮恭子作詞、堀内孝雄作曲による楽曲。奥慶一の編曲により、アルバムを締めくくります。

復刻リリース

2007年11月には、『ナチュラリー』は紙ジャケット仕様で復刻されました。この復刻盤には、オリジナル版の収録曲に加えて4曲のボーナストラックが追加収録されており、オリジナルリリース当時を知らないリスナーも、このアルバムの魅力を再発見できる機会となりました。

『ナチュラリー』は、当時の桜田淳子が表現者として新たな境地を切り拓こうとした意欲が感じられる作品であり、豪華かつ実力派のクリエイター陣とのコラボレーションによって生まれた、聴きごたえのある一枚と言えるでしょう。

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