ナマズ科

ナマズ科（Siluridae）について

ナマズ科は、ナマズ目（Siluriformes）に属する多様な魚類のグループです。学名はSiluridaeといい、英語ではSheat fishやCatfishと呼ばれます。現生種は約100種が確認されており、その分布はヨーロッパからアジアにかけて広範囲に及びます。特に東南アジアに種が集中しており、東アジア、インド亜大陸、西南アジア、ヨーロッパへと分布が少なくなっていく傾向があります。中央アジアではほとんど見られないようです。

分布の特徴

ナマズ科の魚は、ユーラシア大陸の温帯域に生息するグループ（約20種）と、熱帯アジアに生息するグループ（約75種）に大別できます。この分布の違いは、彼らの進化と適応の歴史を物語っています。東南アジアは、多様なナマズ科魚類が生息するホットスポットと言えるでしょう。

形態の特徴

ナマズ科の魚は、その独特な形態によって他の魚類と区別されます。主な特徴として、以下の点が挙げられます。

背鰭に棘条がない
脂びれがない
腹鰭は小さいか、消失している
尻鰭の基底は通常長い

さらに、共有派生形質として以下の特徴があります。

口蓋骨が結節状に退縮している
側篩骨が蝶耳骨の方向に細く伸び、接している
肩甲骨間の骨化した靭帯が前後方向に圧縮されている
背鰭後方の担鰭骨が消失している
臀鰭の鰭条が担鰭骨に対して、後背方向に移動している

これらの特徴は、ナマズ科の魚が独自の進化を遂げてきたことを示しています。

この科の最大種は、ヨーロッパオオナマズ（Silurus glanis）で、その巨大なサイズはよく知られています。

下位分類

ナマズ科は、9つの属に分類され、その半分以上の種が東南アジアに固有です。以下に主な属とその種数をまとめます。

東南アジア固有の属

Belodontichthys - パービャウなど2種
Ceratoglanis - 2種
Hemisilurus - 3種
Kryptopterus - グラスキャットなど18種
Micronema - 3種
Ompok - 26種
Phalacronotus - 4種
Silurichthys - 9種
Wallago - 5種

その他の属

Pinniwallago - 1種 (Pinniwallago kanpurensis) インド産
Pterocryptis - 17種、東アジアから南アジアに分布
* ナマズ属（Silurus）- ヨーロッパオオナマズ、ナマズ、ビワコオオナマズ、イワトコナマズ、タニガワナマズなど15種、ヨーロッパからアジアに分布

形態系統解析の結果から、Silurus属、Ompok属、Kryptopterus属、Wallago属の4属は単系統群ではなく、Ompok属は2つ以上の、他3属は2つの単系統群に分けられる可能性が示唆されています。

このように、ナマズ科は複雑な分類構造を持ち、更なる研究が進められています。

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