ナルヴァ

ナルヴァ：歴史と文化が交差するエストニアの国境都市

ナルヴァは、エストニアの最東端に位置し、ナルヴァ川を挟んでロシアと国境を接する都市です。かつて「バルト海の真珠」と謳われた美しい街並みは、大北方戦争や第二次世界大戦の戦火によって失われましたが、その歴史は深く、多くの物語を秘めています。

歴史

ナルヴァは中世より交易拠点として発展し、12世紀後半にはノヴゴロド年代記にその名が登場します。その後、デンマーク、リヴォニア帯剣騎士団、モスクワ大公国、スウェーデンと支配者が変わり、17世紀にはスウェーデンによる間接支配が行われました。

大北方戦争とロシア統治

1700年に勃発した大北方戦争では、ナルヴァは重要な戦場となり、ロシア帝国の支配下に入りました。19世紀には繊維産業の中心地として発展を遂げましたが、第一次世界大戦ではドイツ軍に占領されるなど、激動の時代を経験しました。

エストニア独立と第二次世界大戦

1918年、エストニアは独立を宣言しましたが、ソヴィエト・ロシアとの間で独立戦争が勃発。1920年のタルトゥ条約によってナルヴァはエストニア領となりました。しかし、第二次世界大戦でナルヴァは再び戦場となり、ソ連による併合、ドイツ軍の占領、そしてソ連軍の空爆によって徹底的に破壊されました。戦後、ソ連はエストニア人の帰還を禁止し、街の人口構成はロシア系住民が多数を占めるようになりました。

再独立

1991年、エストニアは独立を回復し、ナルヴァもエストニアに帰属しました。しかし、国籍問題や言語問題など、多くの課題を抱えています。近年では、EU加盟の効果もあり、経済の活性化が期待されています。

地理

ナルヴァはエストニアの最東部に位置し、ナルヴァ川を挟んでロシアのイヴァンゴロドと国境を接しています。ナルヴァ川はまもなくナルヴァ湾に注ぎ、バルト海へと繋がっています。周辺都市としては、北東にサンクトペテルブルク、南西にタルトゥなどが挙げられます。

人口・民族

ナルヴァの人口は約66,000人であり、その大部分（約95%）がロシア系住民です。ソ連崩壊後、自治を求める運動が起こるなど、エストニアの歴史・民族問題を色濃く反映した都市と言えます。

経済

ナルヴァは港湾都市としての機能に加え、周辺で産出されるオイルシェール（油母頁岩）を背景に、エストニア屈指の工業地域として発展してきました。2004年のEU加盟は、ナルヴァの経済に好影響をもたらすと期待されています。

観光

ナルヴァの見どころとしては、ナルヴァ城が挙げられます。この城はかつてデンマークによって建てられたもので、第二次世界大戦で破壊されましたが、エストニア独立後に復元され、現在は博物館として公開されています。

交通

ナルヴァ駅からは、タリンやモスクワへ向かう列車が運行しています。また、エストニア国内ではバスでの移動が一般的であり、ナルヴァとタリンの間には頻繁にバスが運行しています。

出身者

ナルヴァ出身の著名人としては、チェスプレーヤーのパウリ・ケレスや、サッカー選手のヴァレリー・カルピンなどがいます。

ナルヴァは、その複雑な歴史と多様な文化が交差する魅力的な都市です。エストニアを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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