ナンギャダイ (サルジウト部)

ナンギャダイの生涯とその歴史的背景

ナンギャダイ（モンゴル語: Nangiadai）は大元ウルスの将軍で、生涯の中でさまざまな政治的混乱と戦に関与しました。天暦2年（1329年）に不名誉な最期を遂げるまでの彼の道のりは、当時の中国の政治状況やモンゴル帝国の動乱を反映しています。彼はサルジウト部の出身で、モンゴルの名家に連なる人物でした。

出自と初期の経歴

ナンギャダイの曽祖父タイダルは、モンケ・カアンの治世に四川方面軍の指揮官に任命され、その地位を継承したことが知られています。彼の家系は四川地域での軍事的影響力を持ち続け、子孫がこの地域で高位を占めることに成功しました。彼自身も父や祖父と同様に「万戸」としての地位を受け継いだと考えられています。

四川行省での活動

ナンギャダイは延祐2年（1315年）に任命され、四川行省の平章政事としてその活動を存分に発揮しました。この役職では、彼は四川全域で威望を持ち、平章となることで実質的な権力を振るいました。特に彼が担った政策や行動は、四川の政治や軍事情勢に重要な影響を与えました。延祐3年（1316年）には、ナンギャダイが四川行省の高位にあったことを示す碑文も存在し、彼の功績が認められていたことを示しています。

また、ゲゲーン・カアンの即位に伴い、ナンギャダイは西南の重鎮として更なる地位を得ることになります。彼は塩井の管理や軍の指揮においても独自の政策を遂行しており、これが後の内乱に影響を及ぼすこととなります。

泰定帝の治世とその後

ゲゲーン・カアンが暗殺されると、泰定帝イェスン・テムルが即位し、ナンギャダイは彼の後ろ盾を得て更に権力を強化しました。ナンギャダイはチベット地域の討伐を命じられ、成功を収めることでその勢力を拡大しました。しかし、天暦元年（1328年）にイェスン・テムルが死去すると、内乱が勃発します。ナンギャダイは上都派に加担し、これにより大都派との間で内戦が始まります。彼の支持者たちは彼を中心に兵をまとめ、蜂起を準備しました。

天暦の内乱での蜂起

内戦のさなか、ナンギャダイは自ら蜂起し、鎮西王を自称して独立の構えを見せました。この行動は当時の大都派からの警戒を招きました。彼は四川の平章や雲南の官たちを自らの側に引き入れ、自らの権力を確立しようとしましたが、内部の反発や大都側の反攻に直面します。

蜂起から敗北への道

ナンギャダイの蜂起に対し、大都派は多くの兵士を動員し、彼を追い詰めていきました。彼は北と南の二方面で攻撃を試みましたが、次第に劣位に追いやられました。内乱の様子は混乱を極め、最終的に彼は投降する決断を迫られることとなりました。

最期とその影響

天暦2年（1329年）、ナンギャダイは突如として殺害されることとなり、その遺体は棄市されました。この不当な死は、彼の支持者や家族に大きな影響を与えました。彼の後に続く者たちも、ナンギャダイと同様の運命を辿ることが多く、ナンギャダイの蜂起による影響は四川地域の将軍たちに長引く恐怖をもたらしました。

結論

ナンギャダイの生涯は、その栄光と悲劇を通じて、元代の政治的混乱や権力構造を映し出しています。彼の活動は後世に語り継がれ、モンゴル帝国における歴史的な一幕として存在し続けています。

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