ナンバー7

手塚治虫のSF傑作『ナンバー7』：未来を賭けた人類の戦いを描く

手塚治虫氏によるSF漫画作品『ナンバー7』は、1961年から1963年にかけて雑誌『日の丸』に連載されました。世界大戦の勃発を予見した科学者、大島一郎博士は、自身の発明品である「イメージ現像機」と息子・七郎を人工冬眠させ、100年後の未来へと送り出します。

100年後の地球：異星人の侵略と人類の生存

七郎が目を覚ます2061年、地球は様変わりしていました。異星人や奇怪な生物が跋扈する荒廃した地となり、人類は地球周辺の「空中島」で細々と暮らしているのです。空中島に救出された七郎は、放射線への耐性と並外れた身体能力を買われ、「地球防衛隊・特別攻撃班」にスカウトされます。そして、7番目の隊員として「ナンバー7」を名乗ることになるのです。

地球防衛隊：個性豊かなメンバーと壮絶な戦い

ナンバー7となった七郎は、個性豊かな仲間たちと共に、地球奪還を目指して異星人との戦いに身を投じます。冷静沈着な隊長であるナンバー1、元落語家のナンバー2、元寿司屋のナンバー3など、各隊員はそれぞれ独特の個性と過去を持ち、それぞれのスキルを活かして戦いを繰り広げます。中でも、元提灯屋のナンバー4は、眠ると大きな鼻提灯を作り、それが割れると驚いて目を覚ますというユニークな特徴を持っています。また、剣の達人である2代目のナンバー5、佐々木小次郎は、手塚治虫作品でお馴染みのキャラクター、佐々木小次郎をモチーフに描かれています。

物語は、七郎ら地球防衛隊が絶えず迫り来る異星人との死闘を描き、その戦いは、地球の未来、そして人類の存亡をかけた壮絶なものとなっています。彼らは、高度な科学技術と創意工夫を凝らした作戦で異星人に立ち向かいますが、犠牲も伴います。初代ナンバー5やナンバー6は、戦いの最中に命を落とすなど、物語に悲壮感と緊張感を与えています。

アニメ化計画と『鉄腕アトム』への影響

『ナンバー7』は、虫プロダクションによってアニメ化が検討されましたが、設定の類似した他のアニメ作品が企画されたため、実現には至りませんでした。しかし、その設定やキャラクターは、後に『鉄腕アトム』のエピソードや劇場版に流用され、作品の世界観が継承されていることがうかがえます。特に、『鉄腕アトム』の「地球防衛隊」は『ナンバー7』の設定を強く反映しており、その影響の大きさを示しています。

多様な単行本化

『ナンバー7』は、小学館、集英社、講談社、秋田書店など、複数の出版社から単行本が出版されています。それぞれの出版社で異なる装丁や構成となっているため、コレクターにとっては、それぞれの版を入手するのも楽しみの一つと言えるでしょう。

まとめ

『ナンバー7』は、手塚治虫氏の代表作の一つであり、高度な科学技術と個性豊かなキャラクター、そして壮絶な戦いを描いた傑作SF漫画です。アニメ化はされませんでしたが、その設定やキャラクターは、後の作品に影響を与え続けており、手塚治虫氏の作品世界を理解する上で重要な作品と言えるでしょう。未来をかけた人類の戦いを描いたこの作品は、現代においてもなお、読者に強い印象を与え続けるでしょう。

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