ニコマート (コンビニエンスストア)

ニコマートの歴史とその栄光、 downfall

創業と成長

ニコマートは1980年4月に今野康裕によって設立され、同年の6月には東京都江東区に第1号店をオープンしました。その名称は「ニコニコ」と「マート」を組み合わせたもので、「お客様に常に笑顔でお買い物を楽しんでいただきたい」というコンセプトが込められています。旧サンチェーンの営業スタッフが多く参加する中で、ニコマートはさまざまなフランチャイズ展開を行いました。特に、他のコンビニに見られる売上の一部を本部に支払うという方法ではなく、開業から5年ごとに定額を支払うロイヤリティ制度を導入しました。この制度により、加盟店は安定した経済基盤でのスタートが可能になりました。さらに、ビジネス街や繁華街に店舗を多く構え、エリアフランチャイズ制度を導入するなど、革新的な試みが行われました。

業績の過熱と提携

1985年には長崎屋と業務提携を結び、1990年までに475店舗を展開するまでになり、売上高は693億円に達しました。この時期には、台湾への進出もし、1992年には東京都墨田区に自社ビルを持つまで成長しました。ニコマートはコンビニ事業だけでなく、日本語学校の経営や雑誌の出版、外食業界への進出など、多彩な事業を展開していました。

経営破綻の要因

しかし、1990年代に入ると経営の苦境が続きました。本部直営の店舗展開が深夜や土日の売上に及ぼす影響や、システムトラブルによる巨額の損失、さらには長崎屋との提携解除が経営を圧迫しました。1993年6月には連続不渡りを出し、事実上の倒産を迎えます。残された債務は約450億円で、その後2000年に法的整理が完了しました。このような経営破綻の背景には、借入金に強く依存していたことと、本業以外の資産運用への資金流用があったとも言われています。

倒産後の展開

ニコマートの倒産後、各エリアフランチャイズは新しいブランドで運営するか、従来のニコマート名を使用するかで分かれました。その中で、コンビニックスはニコマートの後継として事業を開始し、「Jマート」として再スタートを切ることになります。さらに、冷凍食品と惣菜を専門にした事業も展開し、約120店舗までの成長を見せます。一方、一部の加盟店は独自のブランドを持つようになり、新たな試みを続けました。

台湾法人の状況

ニコマートの台湾法人は、事業撤退後も「福客多便利商店」として2007年まで営業をしていましたが、他の競合に対して劣位にあり、最終的にはファミリーマートに営業譲渡されることになりました。これにより、ニコマートは完全にその存在を消すこととなります。

社会的信用と不祥事

ニコマートは日本で初めて経営破綻したコンビニであるにもかかわらず、特に業界内での社会的信用は毀損しなかったとされています。一方で、オーナーによる不祥事が明るみに出るなど、会社のイメージは損なわれた面もありました。

結論

ニコマートは、独自のビジネスモデルと多角的な展開を行い、一時は中堅コンビニとして成功を収めましたが、その後の経営環境の変化に対応できず、倒産に至った悲運の企業でもあります。経営破綻後の展開や他社への影響も含め、ニコマートの歴史は日本のコンビニ業界の教訓として今に残っています。

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