ニコライ・ノスコフ

ニコライ・ノスコフ

ニコライ・イヴァノヴィッチ・ノスコフ（ロシア語: Никола́й Ива́нович Носко́в、1956年1月12日 - ）は、ロシアのロックシーンで長きにわたり活躍する著名な歌手、作曲家です。ソビエト連邦時代から現代ロシアに至るまで、その力強い歌声と表現力で多くのファンを魅了してきました。

生い立ちとキャリアの始まり

1956年1月12日、当時のソビエト連邦、現在のロシア連邦スモレンスク州グジャーツク（現在のガガーリン）で、労働者の家庭に生まれました。父イワンはロマ（ジプシー）の血を引き工場で働き、母エカチェリーナは建設現場で働く傍ら、家計を支えるミルク生産者でもありました。ニコライは5人兄弟の長男として育ちました。

ニコライが8歳の時、一家はチェレポヴェツへと移住します。幼少期から音楽に強い関心を持ち、アマチュアバンドでの活動を開始。その才能は早くから開花し、14歳という若さで北西地域大会において最優秀歌手賞を受賞するなど、将来への期待を抱かせました。

バンド活動期

1980年代に入ると、プロフェッショナルな音楽キャリアをスタートさせます。1981年にはアンサンブルグループ「モスクワ」に参加し、1982年からはリードボーカリスト兼ギタリストとして中心的な役割を担いました。この時期には、メロディアからアルバム「UFO」をリリースするなど、着実に活動の幅を広げていきます。

1987年には、映画「消えた船たちの島」のために楽曲を提供。同年からは、自身を象徴するバンドの一つとなるハードロックバンド「ゴーリキー・パーク」にボーカリスト兼作曲家として参加します。このバンドは国際的にも注目を集め、ロック界の巨匠たちとの共演も実現しました。1989年にはジョン・ボン・ジョヴィ、1990年にはスコーピオンズのクラウス・マイネといった名だたるミュージシャンとステージを共にし、その存在感を世界に示しました。

「ゴーリキー・パーク」脱退後も、1988年には短期間ながらバンド「グランプリ」に名を連ね、1990年代後半には自身の名を冠した「ニコライ・バンド」でも活動を行うなど、常に音楽活動を継続しました。

ソロ活動と成功

1998年からはソロアーティストとしての活動を本格的に開始します。この時期から、彼はそのソングライティング能力と歌唱力をさらに磨き上げ、多くのヒット曲を生み出しました。ソロキャリアを通じて、以下の6枚のスタジオアルバムを発表しています。

気まぐれ (Блажь) (1998年)
パラノイア (Паранойя) (1999年)
沈黙の中の呼吸 (Дышу тишиной) (2000年)
大空の中 腰の深さまで浸かって (По пояс в небе) (2006年)
名もなき曲 (Без названия) (2012年)
生きている Живой (2019年)

これらの作品に加え、「シンフォニーオーケストラを伴ったベストソング」(2001年)、「愛の海」(2003年)、「THE BEST」(2016年)といったアルバムもリリースしています。ソロ活動での成功は目覚ましく、ロシアの主要な音楽賞であるゴールデン・グラモフォン賞には5度も輝く栄誉を得ています。

音楽活動以外では、2015年に人気オーディション番組「グラーヴナヤ・スツェーナ」の第2シーズンで審査員を務めるなど、若手アーティストの育成にも貢献しました。また、長年の功績が認められ、2018年7月1日にはロシア連邦の功労芸術家という名誉ある称号を授与されています。

私生活と健康

ニコライはマリーナという女性と結婚しており、プライベートでも幸せな家庭を築いています。夫妻の間には、1991年に生まれた娘エカチェリーナがおり、さらに2015年10月には孫娘ミロスラヴァも誕生しています。

健康面では、2017年に頸部に血栓が見つかるという重篤な病気を患い、一時活動休止を余儀なくされました。しかし、治療を経て回復し、再びステージに戻ってファンを喜ばせています。

近年の動向

政治的な姿勢としては、2022年に発生したロシアによるウクライナへの軍事侵攻を支持する立場を表明しています。

ロシアを代表するロックシンガーとして、ニコライ・ノスコフの音楽は世代を超えて多くの人々に聴き継がれています。彼のキャリアは、バンド活動での成功からソロアーティストとしての確立、そして数々の栄誉に至るまで、ロシアのポピュラー音楽史において重要な足跡を残しています。

もう一度検索