ニコロズ・カティアシヴィリ

ジョージアの首都トビリシに1992年 5月22日に生まれたニコロズ・カティアシヴィリは、現在ラグビー・ヨーロッパ・スーパーカップに所属するブラックライオンでプロップ（PR）としてプレーするプロラグビー選手です。

異色のキャリアスタート

カティアシヴィリ選手のスポーツへの道は、一般的なラグビー選手とは一味異なります。彼は15歳になるまで、楕円球を追うのではなく、アマチュアボクシングの世界で拳を交えていました。ボクシングで培った類まれなフィジカルの強さや逆境に立ち向かう精神力は、その後に転向したラグビーというコンタクトスポーツにおいて、彼のかけがえのない財産となりました。15歳でラグビーの世界へ足を踏み入れた彼は、すぐにそのポテンシャルを開花させていきます。

世界を渡り歩いたプロの道

プロラグビー選手としての第一歩は、フランス国内リーグのクラブであるスタッド・オーリヤコワ・カンタル・オーヴェルニュ（オーリヤック）で踏み出しました。ヨーロッパでの経験を積んだ後、彼のキャリアは国際的な広がりを見せます。ロシアのSTMクラスノヤルスク、そしてエンセイSTMといったトップクラブでのプレーを経て、様々な国のリーグスタイルに適応する柔軟性を身につけました。

彼のキャリアにおいて特筆すべきは、2018年5月に日本のスーパーラグビーチーム、サンウルブズのシーズン途中のスコッドに緊急追加メンバーとして名を連ねたことです。この日本でのプレー経験は、彼が幼少期から抱いていたという日本文化への強い関心と深く結びついています。実際に、彼の左腕には精緻な和風のタトゥーが刻まれており、これは彼の日本に対する敬愛や親近感を象徴するものとして知られています。

サンウルブズでの挑戦を終えた後、カティアシヴィリ選手は北米へと新天地を求めました。2020年にはアメリカ合衆国のプロリーグ、メジャーリーグラグビー（MLR）に参戦するヒューストン・セイバーキャッツに加入。アメリカ大陸での経験を積んだ後、2021年からは再びヨーロッパへと拠点を移し、現在の所属チームであるラグビー・ヨーロッパ・スーパーカップのブラックライオンでプレーを続けています。

ジョージア代表としての活躍とプレースタイル

国際舞台では、ラグビー強豪国として知られるジョージアのナショナルチームでも重要な役割を担っています。2021年2月時点で、彼はジョージア代表として3キャップを獲得しており、その屈強なフィジカルとスクラムの安定感はチームの屋台骨を支えています。また、2015年に開催されたラグビーワールドカップでは、負傷した選手の代替として代表スコッドに追加招集され、世界のトップが集う大会にその名を連ねる栄誉も得ています。

身長177cm、体重116kgという、プロップとして理想的なパワフルな体躯を誇るカティアシヴィリ選手は、スクラムにおける推進力はもちろんのこと、フィールドプレーにおいても低い重心を活かしたボールキャリーや、ボクシング仕込みの強いコンタクトプレーで相手を圧倒します。

ニコロズ・カティアシヴィリは、アマチュアボクシングからラグビーへ転向し、フランス、ロシア、日本、アメリカ、そしてジョージアと、まさに世界を股にかけてキャリアを築いてきた稀有なアスリートです。特に日本との意外な縁や、多様な文化の中で培われた経験は、彼の選手としての魅力を一層引き立てています。今後の彼の更なる飛躍から目が離せません。

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