ニシキヘビ属

ニシキヘビ属について

ニシキヘビ属（学名：Python）は、爬虫綱有鱗目ニシキヘビ科に分類されるヘビのグループであり、ニシキヘビ科の模式属です。アフリカ大陸、ユーラシア大陸南部、インドネシア、スリランカなど、広い範囲に分布しています。

形態

ニシキヘビ属には様々な種が含まれており、小型種では全長2m程度ですが、大型種では3mを超えるものもいます。一般的には、褐色や暗緑色の体に暗色の斑紋が入る色彩の種が多いです。体形は太いものが多く、特に広義のアカニシキヘビは、ツチノコのような体形をしています。これは、同じように多湿な環境に生息する他のヘビにも見られる特徴で、収斂進化の一例として知られています。

生態

サバナ、熱帯雨林、民家近く、都市部など、様々な環境に生息しています。乾燥した環境に生息する種もいますが、砂漠のような極端に乾燥した環境には生息していません。多湿な環境を好む傾向があり、特に広義のアカニシキヘビは沼地や湿地に生息しています。地上棲の種が多いですが、樹上棲の傾向が強い種もいます。

食性は動物食で、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など、様々な動物を捕食します。種によっては、ヒョウやイノシシ、家畜を捕食した例もあります。獲物を捕らえる際は、素早く襲いかかり、長い体を巻き付けて締め殺します。以前は窒息死を狙っていると考えられていましたが、近年の研究により、獲物の体を締め付けることで心臓を止めて殺すことがわかっています。この方法は窒息よりも速く獲物を殺すことが可能です。獲物を殺した後、丸呑みにします。

捕食した獲物の消化には時間がかかるため、1週間から1ヶ月程度、何も食べずにいることもあります。また、捕獲された際には、身を守るために呑み込んだ獲物を吐き出すことがあります。

繁殖形態は卵生です。卵の大きさは種による差異は少なく、大型種は体形に比べて小型の卵を大量に産み、小型種は体形に比べて大型の卵を少量産む傾向があります。

分類

ニシキヘビ属には、以下の種が分類されています（分類・和名は田原(2022)による）。

Python anchietae アンゴラニシキヘビ
Python bivittatus ビルマニシキヘビ
Python breitensteini ボルネオタンビニシキヘビ
Python brongersmai ヒイロニシキヘビ
Python curtus スマトラタンビニシキヘビ
Python kyaiktiyo ビルマタンビニシキヘビ
Python molurus インドニシキヘビ
Python natalensis ナタールニシキヘビ
Python regius ボールニシキヘビ
Python sebae アフリカニシキヘビ

人間との関係

属名の「Python」は、ギリシャ神話に登場する蛇神ピュトンに由来します。

ニシキヘビの皮は、革製品の原料として利用されています。皮目的の乱獲により生息数が減少した種もいるため、ワシントン条約により国際的な取引が規制されています。しかし、東南アジアから欧州の闇市場には、毎年大量の皮が流入しているという報告もあります。

ニシキヘビ属には、他のニシキヘビ科の属とは異なり、人間を絞め殺した記録のある種が含まれています。ビルマニシキヘビとアフリカニシキヘビの2種が該当し、日本では特定動物に指定されています。これらの種は、ペットとしても人気がありますが、2024年現在、特定動物に指定されている種は個人の新規飼育ができません。一方で、ボールニシキヘビのように大人しい小型種もペットとして人気があります。

関連項目

* ニシキヘビ科

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