ニシン漁船

ニシン漁船の歴史と発展

ニシン漁船、もしくはロガー（ドイツ語: Loggerfischerei）は、ニシンを対象にした沖合漁業を行うための特化した漁船です。その起源は1860年代にまで遡り、この船を使用した漁業はヨーロッパの海域に多大な影響を与えてきました。特にドイツでは西ドイツが1976年、東ドイツが1981年までその操業を続け、多様な技術を駆使して盛況を誇りました。漁船の上で漁師は内臓を取り出し、塩漬けにして樽に詰めるまでの一連の作業を行い、その後陸上で加工されるシステムが確立されていました。

ニシン漁の進化

中世の終わりに、バルト海のニシン漁業が衰退した後、北海が新たな漁場として注目されるようになりました。特にスコットランド沖は生産性の高い漁場として知られ、沖合漁業と陸上での加工が密接に結びついていました。オランダでは、耐航性に優れるブイゼンと呼ばれる船を使用する長距離漁業が発展し、これは後のニシン漁業に大きな影響を与えました。これらの船は、流し網を使ってニシンを大量に捕獲する能力を持っており、当時の漁業における革新の象徴でした。

漁法の革新

19世紀に入ると、フランスのラガー船がニシン漁業に新たな革命をもたらし、従来のビュイーズ船ではなく、よりスピーディーで効率的な漁が可能となりました。特に網が軽量で扱いやすいため、漁業は格段に進化し、年間で4～5回の漁に出ることが可能になりました。また、船員の給与制度の改革も優れた漁業の成功要因となり、漁獲物の分配制度が導入されたことで、漁師のモチベーションが向上しました。

ドイツにおけるニシン漁の歴史

ドイツのニシン漁は、シュライ川、エルベ川河口、ヘルゴラント沖などの沿岸で主に行われており、エムデンのオランダ人が1550年頃に最初の沖合漁業を実施したことが報告されています。特に1767年に設立されたデンマークのアルトナでは、ニシン漁業会社が設立され、ナポレオン戦争中に英軍に拿捕されるまで成長を続けました。

エムデンにおけるロガー漁業は、1872年に設立され、初期にはオランダからの購入したセーリング・ロガーが用いられました。プロイセン政府の支援を受けながらも、ニシン漁の発展には困難が伴いました。政府は、塩漬けニシンの安価な供給を通じて貧困層への支援や、戦争時に即応可能な海軍人材の育成を目指しました。

戦前と戦後の影響

第一次世界大戦が始まると、ロガー漁業はほぼ停止し、戦後も大きな影響を受けました。1925年には補助金が再開され、再び漁業が活況を呈しましたが、1930年代になると冷凍保存技術の発展や消費者の好みの変化が影響し、ニシン漁業は深刻な危機に直面しました。1945年以降、生き残った漁船は更新され、1970年代まで続けられましたが、その後の衰退は避けられず、1976年をもってドイツでのニシン漁業は終焉を迎えました。

結論

ニシン漁船は、長い歴史の中で技術や運営方針を変えながら発展し、地域社会に多大な影響を与えました。それでも、時代の変化や資源の減少、競合他業種の影響により、その歴史は幕を閉じざるを得ませんでした。今日では、過去の偉大な漁業の伝統や文化を継承しつつ、新たな漁業の形が模索されています。

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