ニッポン親不孝物語

ニッポン親不孝物語

『ニッポン親不孝物語』は、日本テレビの「金曜劇場」で1985年4月から7月にかけて放送されたドラマです。舞台は東京の下町に位置する老舗の呉服屋「紅屋」。この店では三世代が同居する5人家族が描かれています。物語は父が商売を諦めて蒸発したことから始まります。母親の敏子は、ふたりの息子に支えられながら日々の生活を維持しようと奮闘しています。

長男の高志は、友人たちと「3代目を拒否する会」を結成し、自分の思い通りに生きることを選びました。彼は突然の家出を繰り返しながらも、喫茶店「ドリーム」の屋根裏部屋に隠れて過ごすことが多く、自由気ままな生活を楽しんでいます。真吾という弟は、成績優秀で、医学部を目指す意欲を持つ一方で、高志とは全く反対の道を進もうとしています。そんな中、母・敏子は夫の突然の失踪と店の経済的な問題に直面しながらも、家族を支えるために頑張り続ける姿が描かれています。このように、彼らの生活は様々な問題に直面しつつも、家族の絆と友情を大切にすることがテーマとなっています。

このドラマはコメディタッチでありながら、登場人物たちの苦悩や成長をしっかりと描いています。キャラクター同士の関係性やコミカルなやり取りが視聴者の心を掴み、多くの人に愛されました。このような人情コメディは、時代を超えて共感を呼ぶものです。特に家庭の状況やそれに伴う葛藤は、どの時代でも感じられる普遍的なテーマであるため、多くの視聴者が親しみを持って観ることができました。

ドラマの出演者では、近藤真彦が高志役を演じ、坂上忍や市原悦子、天知茂などが脇を固めています。天知はこの作品の放送後に急死してしまい、彼にとってこの作品が遺作となりました。また、放送中には人見きよしも亡くなるという不幸な出来事があり、最終話ではその追悼メッセージが流れるなど、多くの感慨を引き起こしました。

『ニッポン親不孝物語』は、2022年現在も再放送やDVD化がされていないことから、視聴者にはなかなか触れられない作品となっていますが、その内容は観る人の心に深く残ることでしょう。家族の温かさや、時には厳しい現実を直面しながらも芯の強い生き様を描いたこのドラマは、今でも多くの人にとって心に残る作品という印象を持ち続けています。

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