ニホンドロソコエビ

ニホンドロソコエビの概要

ニホンドロソコエビは、日本全国の海岸に生息する小型の甲殻類で、特に内湾性の生息環境を好みます。このエビの分布は広範囲に及び、北海道から九州にかけて確認されるほか、ロシア（サハリン）やカリフォルニア、オーストラリア、フランスなどでも見られますが、これらの地域では移入個体群と考えられています。

生態

ニホンドロソコエビは、主に河口の干潟や前浜の潮間帯下部から潮下帯上部にかけてよく見かけます。彼らは泥底や砂泥底に巣を掘り、筒状の巣を作って生活しています。また、転石の下に隠れていることもあります。

このエビは主に懸濁物を食べており、剛毛の生えた触角を使って餌を集めます。時折、自分よりも小さな甲殻類を捕食する行動も観察されます。

形態

ニホンドロソコエビは、ユンボソコエビ科に属し、体形はドロクダムシ下目の典型的な特性を持っています。全体的には褐色を基調としており、触角や胸部には濃褐色の帯があります。歩脚は黄白色から半透明です。

触角は全長の約2/3を占めており、第1触角は柄部より鞭部が長く、第2触角は柄部が発達しているため特徴的です。この二つの触角には、小さな副鞭があり、他属との識別に役立っています。

性差も観察され、オスの第1咬脚はメスよりも明らかに大きく、ハサミ状の形態を持っています。この咬脚は、基節が前方に向かって弧を描くように広がり、腕節の上縁が後方に大きく拡張しています。

第2咬脚は亜はさみ状で、雌雄差はほとんど見られません。また、尾肢の第1、2は双葉型ですが、第3尾肢は単葉であることが他の属との違いの一つです。尾節板は台形または三角形で、長さと幅がほぼ等しいのも特徴の一つです。

近縁種

ニホンドロソコエビに近縁な種としては、リンセツドロソコエビ、シマドロソコエビ、ニホンドロソコエビモドキ、アカヒゲドロソコエビ、チビドロソコエビなどがあります。さらに、オオサカドロソコエビやニセオオサカドロソコエビ、サンリクドロソコエビといった種も存在し、それぞれ微細な形態的差異があります。

研究と注意点

世界では、ドロソコエビ属（Grandidierella）には40種以上が確認されていますが、日本における分布状況については、未だに完全には解明されていない部分があります。これにより、正確な同定には慎重を要します。正しい情報を持ちながら、これらのエビの生態学的役割や環境への適応について、さらなる研究が期待されます。

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