ニュングェ国立公園

ニュングェ国立公園 - ルワンダが誇る緑の宝石

ルワンダ共和国の南西部に位置するニュングェ国立公園は、手つかずの自然が広がる広大な保護区域です。2004年に設立され、その豊かな生態系と驚異的な生物多様性から、2023年にはルワンダで初めて世界遺産として登録されました。

地理と多様な景観

公園はルワンダの南部州と西部州の境界にまたがり、南側はブルンジとの国境、北側はキブ湖の南側に位置しています。約970平方キロメートルにも及ぶ広大な敷地内には、多雨林を中心に、竹林、広大な草原、湿地帯である沼地やボグなど、非常に多様な環境が含まれています。このような多様な地形や植生が、多くの生物種にとって理想的な生息地を提供しています。

公園の境界内にはビググ山（Mount Bigugu）がそびえ立ち、周囲の景観に変化を与えています。最寄りの主要都市はチャンググで、公園の西側約54キロメートルの距離にあります。地理的な特徴としては、2006年にイギリスの探検隊がニュングェ森林内にナイル川の源流を発見したとの発表も行われ、その奥深さと神秘性が改めて注目されました。

アフリカ屈指の生物多様性

ニュングェ国立公園は、アフリカ大陸全体を見ても野生動植物にとって極めて重要な保護区の一つとされています。この地域は、複数の主要な生物地理区が交わる場所に位置しており、様々な陸上生物群系に対して多種多様な微小な生息環境を提供することで、驚くほど多様な生物が共存する基盤となっています。

園内で確認されている生物の種数は非常に豊富です。特に注目されるのは霊長類で、アフリカ全体で見られる種の約25%にあたる13種が生息しています。これに加え、鳥類は317種、植物は1068種、哺乳類は85種（希少なヒルキクガシラコウモリなども含まれます）、両生類は32種、爬虫類は38種が記録されており、その生命の豊かさは計り知れません。

これらの生物の中には、アフリカ大陸のアルバーティーン地溝帯と呼ばれる特定の地域にのみ生息する固有種が多く含まれています。この地溝帯の生物相に関する調査では、他の地域に比べて、ニュングェ国立公園を含むこの地域からより多くの固有種が発見・報告されており、その生態学的、科学的な価値は非常に高いと評価されています。

生息する主な霊長類

ニュングェ国立公園に生息する多様な霊長類のうち、代表的な種をいくつか挙げます。

チンパンジー（特にケナガチンパンジー亜種）
ルウェンゾリコロブス（アンゴラコロブス亜種）
ロエストモンキー
シルバーグエノン
ヴィルンガゴールデングエノン
フクロウグエノン
アカオザル
デントグエノン
ベルベットモンキー
アヌビスヒヒ
ホオジロマンガベイ
（他、合計13種）

これらの多様な霊長類が生息する様は、訪れる人々にとって特別な魅力となっています。

世界遺産としての価値

2023年に世界遺産リストに登録された際、ニュングェ国立公園は特に以下の基準を満たしていると評価されました。

* (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

この基準は、公園が持つ生物多様性の高さ、特にアルバーティーン地溝帯固有種や多くの絶滅危惧種にとって不可欠な生息地であることの重要性を示しています。ニュングェ国立公園は、その豊かな自然とそこに息づく多様な生命を守り、未来へ引き継ぐための重要な役割を担っているのです。

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