ニューオーリンズの戦い (南北戦争)

ニューオーリンズの戦い

ニューオーリンズの戦いは、1862年4月25日から5月1日にかけて、南北戦争の初期段階で発生した重要な戦闘です。北軍がルイジアナ州ニューオーリンズを無血で占領するという結果に終わりました。この戦いは、戦略的に重要なミシシッピ川の支配権を巡る戦いの一部であり、北軍が南軍を分断しようとする「アナコンダ計画」の重要な一部を担っていました。

背景

北軍は、ミシシッピ川を掌握することでアメリカ連合国を分断し、戦争を有利に進めることを目指していました。その最初のステップとして、ミシシッピ川の河口を制圧し、ニューオーリンズを占領することが重要でした。1862年1月中旬、北軍の海軍将官デヴィッド・ファラガットが、西メキシコ湾封鎖戦隊を率いてこの任務に就きました。

ニューオーリンズへの進軍を阻む唯一の障害は、ニューオーリンズから約110km下流のヘッド・オブ・パシーズに位置するジャクソン砦とセントフィリップ砦でした。これら2つの石造りの砦は、北軍の進撃を妨げる強力な防御拠点でした。

戦闘の経過

4月18日から28日にかけて、ファラガットはジャクソン砦とセントフィリップ砦に対して激しい砲撃を開始しました。北軍艦隊は砦を突破し、4月24日には13隻の艦船が上流に到達することに成功しました。これにより、砦は孤立状態となり、絶え間ない砲撃にさらされました。4月28日、ついにジャクソン砦とセントフィリップ砦は降伏しました。

4月25日正午、ファラガットはニューオーリンズ市前に停泊しました。その後、ベンジャミン・フランクリン・バトラー少将の部隊が、無抵抗のニューオーリンズ市を占領しました。この際、北軍は米英戦争でのニューオーリンズの戦いを称え、アンドリュー・ジャクソンの彫像に「合衆国は守らねばならないし、守りきるぞ」という言葉を刻みました。

戦闘後

戦後、バトラーが市の軍政府長官に就任しました。彼の統治は非常に厳格で、ニューオーリンズ市は秩序と平穏を保つことができましたが、同時に市民の反感も買いました。バトラーは、オランダ領事館に保管されていた80万ドルを没収し、「シャンパン・チャーリー」として知られるフランスのシャンパン業者シャルル・エドシックをスパイとして投獄するなど、強硬な措置を次々と打ち出しました。

特に非難を浴びたのが、5月16日に発表された将軍命令第28号です。この命令は、アメリカ合衆国の士官や兵士を侮辱する女性を「町の職業婦女」とみなし、売春婦として扱うと定めるものでした。この命令は北側、南側だけでなく、イギリスやフランスなど海外からも強い抗議を受け、最終的にバトラーは12月17日にメキシコ湾方面軍の指揮官から解任されることになりました。バトラーは「けだものバトラー」や、滞在先の南部家庭で銀器を盗む癖があったことから「スプーン」という渾名で呼ばれました。

さらに、1862年6月7日には、ニューオーリンズの合衆国造幣所において、デヴィッド・ファラガット提督が設置した合衆国旗を破ったウィリアム・B・マンフォードが処刑されました。この処刑によって、アメリカ連合国大統領ジェファーソン・デイヴィスは、将軍命令第111号でマンフォードを極刑に値する重罪人と糾弾し、もし捕獲された場合は処刑することを命じました。

バトラーの統治は、ニューオーリンズ市に秩序と安全をもたらした一方で、多くの市民から反感を買いました。その後、南北戦争終結近くには、ナサニエル・バンクス少将が市を統治しました。

ニューオーリンズの戦いは、南北戦争における重要な転換点となり、国際関係にも影響を与えた出来事として、歴史に深く刻まれています。

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